ポジティブ思考になろうとして、かえって失敗してしまう人がいますが、これはなぜ起きるのでしょうか。
ポジティブになりたい、前向きになりたいという人は多いと思いますが、かえってそれで失敗する人の方が多いものです。ですから、結局ポジティブになれず悩むわけです。
その理由と対策を紹介します。
ネガティブ思考の方が成功しやすいということが様々な統計でも確認されています。集中力も高く注意深く物事を考えることができるので、無理にネガティブな思考を避ける必要もなく、ネガティブは使い方を学んだ方がいいということは、何度か紹介してきました。
2つの成功ルート
人間が成功するルートは2つあるとされています。
大きく分けて、DPとSOのどちらかのタイプで人は成功します。この成功のスタイルを知っておけば、ネガティブな自分はどちらを目指せばいいのかということも分かります。
1. DP(Defensive Pessimism)
防衛的ペシミストという考え方で、今まで成功したり上手くいった事があっても、次は失敗するかも、そんなに上手くいかず次は悪い事が起きるのではないかと考えるタイプです。
このような人は、不安により他の人よりも事前準備に力を注ぐので成功しやすくなります。
2. SO(Strategic Optimism)
戦略的オプティミストという考え方で、今までも上手くいってるのだから次もきっとうまくいくと考えて、どんどん前に進んでいくタイプです。
このような人は、失敗を恐れないのでトライアル・アンド・エラーを繰り返して成功に繋がります。
自分はどちらのタイプなのか?
成功はこの2つのどちらかだということですから、皆さんはこのどちらなのかということを決めればいいわけです。
自分が楽観的なタイプであれば、SOを選んだ方がよく、SOが成功するためには、当然行動しなくてはいけません。SOの成功ルートは失敗を恐れず挑戦を繰り返すことですから、挑戦回数を増やしましょう。
逆に、慎重派で不安になりやすい人は、DPのタイプですから、あれこれ挑戦しようとすると緊張や失敗が増えるだけですから、他人よりも準備に時間をかけることで成功率を高めようと考えてください。ただし、これは、他の人よりも行動につながる準備をしましょうということなので、準備だけで行動しないと意味がありません。
DP(Defensive Pessimism):準備を念入りに
SO(Strategic Optimism):挑戦回数を増やす
分け方としては、DPの人たちは、常に失敗の不安を抱えている人たちで、SOは基本的に成功すると考えている人達です。
この2つにはどちらがいいとか悪いということはありません。ほとんど遺伝子で決まるものです。
ネガティブで、DPのルートを通れば成功できるはずの人なのに、世間一般ではSOの人の方が自分の成功をアピールしたり目立つので、成功しているように見えるために、無理をして自分に合わないルートを選んだために失敗する人もいます。
DPの人がしてはいけない行動
1. 本番直前にリラックスしようとする
ネガティブさが事前の準備につながるから強みになるわけです。ですから、本番直前にリラックスしようとすると、本来は強みであったはずの緊張感がなくなり、結果が出なくなります。
本番前にリラックスした方がうまくいくのは、SOの人たちです。
DPの人たちは、適度な緊張感を保ってください。
1993年の実験で、参加者を2つのグループに分けて認知テストを行いました。
- テストの前に、具体的なテストの内容と結果をリストアップしたグループ
- テストの前に、雑談や楽しいゲームをしたグループ
テストの直前に、テストに対する緊張感を高めるような行動をしたグループと、リラックスするために全く関係ないことをしたグループで、テストの結果がどう変化したのかということを調べたものです。
その結果、DPのタイプの人は、もっと前に注意をそらせばそらすほど成績が落ちましたが、テストについて考えて緊張感を高めていた人達は成績が上がっていました。
DPの人たちは、本番の直前に下手にリラックスしようとせずに、向き合い続けた方が能力を発揮することができるということです。
逆に、SOに人たちは、テスト前に気をそらせば成績が良くなりましたが、直前に緊張感が高まるようなことをすると成績は下がりました。
タイプによって真逆の結果になるということです。
2. 事前にポジティブに考える
ポジティブに考えすぎることはよくありません。特に本番前はポジティブに考えると、パフォーマンスは発揮できないということが実験でも分かっていますので、ポジティブ思考になろうとしすぎない方がいいです。
1996年の実験で、参加者を2つのグループに分けて、ダーツを投げる実験を行っています。
- コーピングイマジナリー(失敗した時のシュミレーション)の戦略を使ったグループ
- マスタリーイマジナリー(完璧な成功のシュミレーション)の戦略を使ったグループ
DPの人たちは、自分の失敗を想像したり、失敗した時にどうリカバリーするのかということを考えると、ダーツの的中率が上がりました。DPの人達は、ネガティブなことを考えてそれを飲み込んでいた方が成績は良くなったということです。
逆に、完璧にダーツを投げているところをイメージすると、かえって、成績は下がってしまいました。
SOの人たちは、失敗するところを想像すると本当に失敗してしまい、完璧にダーツを投げているところを想像すると本当に成績も上がりました。
ちなみに、日本人やアジア人は、基本的にはポジティブシンキングがあまり効果がない人が多いです。日本人は悲観的な遺伝子を持っている人が9割を超えています。ほとんどの人は、DPだと考えてください。
基本的には、不安を抱えやすい遺伝子が強い日本人は、DPの戦略を使った方が上手くいく可能性は高いです。
ぜひ参考にしてみてください。
Researched by Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
Reference:
https://psycnet.apa.org/index.cfm?fa=buy.optionToBuy&id=1994-33493-001
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0146167296224003