悪用禁止です!
今回の内容は、特にDラボで解説している部分は悪用は禁止です。
いわゆる洗脳の効果というものは限定的で短期的なものです。
ただ、悪用しようと思ったら洗脳とまでは言えなくても、いわゆるマインドコントロールぐらいのレベルであれば今回の知識だけでもできてしまいます。
このような心理学的な知識も良い方向に使えば役に立つものです。
なかなか説得できない人を説得したり、頑固でかたくなに意見を変えてくれない人を良い方向に変えていくこともできます。
もちろん、ダークなテクニックであっても、それを理解しておけば自分自身や自分の大事な人を守るために役に立つこともあります。
科学的には洗脳は存在しない
社会学や宗教学を専門とされているペンシルベニア州立大学のロジャー・フィンケ博士のレポートを見てみると、この方もメディアでよく紹介されているようないわゆる洗脳は存在しないと言われています。
とはいえ、芸能界でも定期的に誰かが洗脳されているというような話がよく出てきます。
そのような時のメディアの見出しを見ると、洗脳されて自分の価値観や今まで信じていた全てのものを捨てて、特定の人や宗教などに誘導して抜け出すことができない状態にするということを目にします。
このような洗脳手法は実は科学的には存在しません。
一般的にいわれている洗脳というものは、相手の信念をまるごと変えてしまうようなものではなく、特定の心理学的な操作やテクニックを用いて人間の考えや意見を変えることができると科学的に確認されたことは一度もないということです。
多くの人がイメージしているような強力な洗脳のテクニックは映画の中にしか存在しませんが、社会心理学的なテクニックを使うことで、それに近い効果を与えることはできます。
ただ、そこまで強力な効果はないということです。
「洗脳」の起源
歴史を振り返ってみると、「洗脳」という言葉が科学誌の中で最も使われたのは1950年代です。
元々はいわゆるマインドコントロールのような意味で使われたものではありませんでした。
当時の毛沢東政権は強制的に人を労働させたり暴力によって国を動かしていました。
その毛沢東政権の強制的な方法を表す言葉として 「洗脳」という言葉が使われ始めました。「脳を洗う」かのように強制的に人間の行動を変えることを意味していました。
日本でも同じですが、世界的に洗脳という言葉が今多くの人が思っているようなイメージになったのは、カルト教団や宗教運動が1970年代ぐらいから増えてきたことによります。
このような新興宗教などの活動において、そこで本当に洗脳の手法が使われているのかということを研究者たちは調べています。
社会学者が体系的に分析した結果、どうやらカルト教団には洗脳の力はないということが確認されています。
カルト教団に入ってしまう理由
とはいえ、カルト教団に入って信じ込んでしまう人がいます。
この原因について調べてみたところ、彼らを最も強力にカルトに誘導していたのは「友人や家族の声」でした。
つまり、身近な人からの口コミによってカルトに入っていました。
ですから、口コミやインフルエンザに影響されて商品を買うのとあまり変わらない状態です。
身近な人から「宗教に入ることで人生が変わった」と言われ興味を持つことが始まりのようです。
逆に言うと、親しい友人や家族から籠絡された場合には、カルト教団のようなものを信じてしまう可能性は結構高くなるということです。
その時も他の友人や家族に相談することができれば問題がないわけですが、それができないように他の人間関係を崩壊させておけば、洗脳に近い状態のコントロールはできるわけです。
洗脳の正体「ピアプレッシャー」
いわゆる新興宗教は入ってもすぐにやめてしまう人の方が多いようです。
並べると申し訳ないですが、キリスト教やイスラム教などのクラシックな宗教は多くの人が死ぬまで信仰しています。
厳しい戒律もずっと守っていますが、これは自分が信じているというよりは「自分が信じている人がそれを信じて続けているから」という理由の方が影響が大きいようです。
いわゆるピアプレッシャーと呼ばれる同調圧力のようなものの影響が大きいのではないかと言われています。
例えば、大切な人に裏切られたりして誰も信じれないという状態になっている人は、宗教団体のメンバーが家族のような存在になっている場合があります。
そこまで行くと抜け出すのがかなり難しくなります。
洗脳の10ステップ
とはいえ、戦時中には様々な洗脳の研究が行われています。
人には誰でも自分が持っている「自意識」があると思います。
自分がどんな人間でどのような常識を信じて生きてきたかという感覚があると思いますが、まずそれを攻撃します。
その人が今まで持っていた信念を粉々に砕いて心神喪失の状態にまで落とします。
そこに対して新しいイデオロギーや考え方を埋め込みます。
これがいわゆる洗脳で、戦時中には世界中で研究されていました。
1950年代後半には心理学者のロバート・ジェイ・リフトン博士が、中国や朝鮮の戦争の捕虜を研究して、洗脳が本当に行われていたのかということを調べています。
捕虜は一時的に洗脳されて自分の国の情報を調べたりすることがありましたが、解放されて自分の国に戻ってしばらく経てば元に戻っています。
捕虜を洗脳して敵国にスパイとして送り込むというようなことは映画の中だけの話でした。
とはいえ、その人の環境が変わらなければ洗脳の状態は解かれません。
この研究では、戦時中の収容所では、捕虜の自意識を攻撃して新しい信念を埋め込むいくつかの段階のプロセスを経て洗脳が行われていたということが確認されています。
博士はそのプロセスを10のステップに分けて解説されています。
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ステップ1 :アイデンティティーへの攻撃
まずはその人の信念やアイデンティティーを徹底的に攻撃するわけですが、ここでのポイントは組織的にそれを行うということです。
組織的に寄ってたかってその人の信じていることや考え方が間違っていると攻撃します。
これは危険なブラック企業でも同じようなことが行われていると思います。
これを組織的に行うのが洗脳の入り口です。
これを繰り返し行うと、自分はどんな人間で何のために生きているのかわからなくなっていきます。
自分のアイデンティティーがわからなくなり自分を疑い始めます。
完璧主義の人や頑張っている人やちゃんとしなくてはいけないと思っている人ほど、この攻撃には弱くなってしまいます。
完璧な人なんてどこにもいないので、自分の信じていることを攻撃されたとしても開き直ることができる人であれば構いませんが、自分の信じていることや自分のイメージを守らなくてはいけないと強く思っている人ほど、アイデンティティーへの攻撃が有効的になります。
「自分は誰なのか?」という感覚を失い、どんどんメンタルが病んでいきます。
人は今まで信じているものがなくなると「新しく信じることができるもの」を求めるようになります。
それによって洗脳やマインドコントロールが入り込むスキを与えてしまいます。
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ステップ2 :罪悪感 (恥と罰の感情を植え付ける )
相手のアイデンティティーを攻撃しながら、「相手が悪いことをした」ということを常に伝えていきます。
罪悪感や恥の感情を感じやすい人はコントロールしやすくなります。
新興宗教では必ず人に罪の意識を与えます。
これは罪悪感を感じやすい人はコントロールしやすいからです。
これを繰り返していくと、人はやがてほとんどのことに対して恥を感じるようになります。
例えば、自分は仕事でも人間関係でもみんなに迷惑ばかりかけていてダメな人間だと自分を責めるようになります。
自分を責めている人は無意識のうちに外部に救いを求めるようになります。
ステップ3 :裏切り(親しい人への裏切りを強要)
かつての家族や友人を糾弾することを強要します。
その友人や家族というのは最後の頼みの綱です。
アイデンティティーが崩壊したり罪悪感を感じてふさぎ込んでいる状態でも、親しい友人や家族がいてくれたらまだ戻ることができます。
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その最後の逃げ道を絶たせるために裏切りを強要します。
友人や家族たちに暴言を吐かせたり危害を加えるようなことをさせます。
人間のアイデンティティーは自分の内側だけでなく、自分の人間関係によっても影響を受けています。
その人間関係を無理やり切らせることで、さらにアイデンティティーは破壊されます。
それと同時に、大切な人との関係を切るということで思い出もなくなります。
友達や家族と過ごした大事な時間は全て嘘だったと考えるようになってしまいます。
このように過去から切り離すことによって、新しい人格を作る土台を作っていきます。
ステップ4 :ブレイキングポイント(心の崩壊)
ステップ3までを繰り返すと心が完全に崩壊してしまいます。
こうなると不利な条件を飲まされたり、それが理不尽なことや論理がありえないような話でも信じてしまったりします。
これ以降のステップに関してはかなりダークな内容になりますので、Dラボで解説していきます。
今回のおすすめの動画からチェックしてみてください。
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まだの方はこの機会にぜひチェックしてみてください。
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【洗脳の研究②】戦時中に使われた洗脳手法とは
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参考:Probing Question: Does brainwashing exist? NOVEMBER 03, 2009 By Jillian Lokere
Robert Jay Lifton, Thought Reform and the Psychology of Totalism, W.W. Norton & Co., Inc., 1963.
The brainwashing myth Published: July 18, 2018 11.42am BST Rebecca Moore Emerita Professor of Religious Studies, San Diego State University
This video is just “my consideration” based on above literature. Don’t take it seriously.