この知識はこんな方におすすめ
- 投資の収益率を高めたい
- 大切な場面で優れた決断をできるようになりたい
投資でも人生の重要な決断でも
人生においては多くの問題が起こります。
そこには答えがありませんし、影響を与える要素が多すぎますので、意思決定と難しくなってしまいます。
そのような難しい問題や答えがないような問題に対して、意思決定を行う場合どのようにすればいいのでしょうか。
カオス理論を利用したフレームワークについて、Dラボの続きの動画の方では解説していきます。
そして、今回は、投資パフォーマンスを上げる決断法について紹介させてもらいます。
これは、マサチューセッツ工科大学などの研究チームが、実際に、投資に関する意思決定をオンライン上で調査して見つけたという意思決定の方法から紹介させてもらいます。
なかなか決断することができないという人もいると思います。
やはり、決断方法を知らないとできないことは少なくありません。
意思力を高めようとか、優柔不断をやめて即断即決で物事を決めることができるようになろうというようなことを言う人がいますが、これは決断方法を知らないと決められません。
自分なりの決め方やフレームワークや手順を知っていないと、どうしてもいちいち悩んでしまう時間が増えてしまいます。
僕たちは日々の中でたくさんの意思決定をする必要があります。 なかなか迷って決断できないということもあるのではないでしょうか。とりあえず決断した上で、うまくいくかどうか試している時間であればいいのですが、試すことなく何の情報も増えないまま行動しないというのは、とても時間がもったいないことです。 続きを見る
先日紹介しましたが、余計な意思決定については一定のルールのもとに決断できるように自動化して、本当に大事なことだけ考えることができるようにすることが大切です。
この記事であなたの決断力を測れます
社会的探索:スウィート・チェンバー
投資パフォーマンスを上げるための決断法として、社会的探索というテクニックを紹介します。
スウィート・チェンバーというのは、この社会的探索のスタイルのことになります。
2013年にマサチューセッツ工科大学などの研究チームが、eToroというオンライントレーディングのプラットホームを使い160万人のユーザーを対象に、ユーロと米ドルの為替取引のデータを集めて、約1000万件の金融取引データをチェックしています。
これはオンライントレーディングのプラットフォームを使っているので、各ユーザーの細かい行動もチェックできています。
どんな意思決定や行動をしているユーザーが取引で実際に良いパフォーマンスを発揮することができていて、逆に、どんな意思決定や行動をしているユーザーがパフォーマンスを発揮することができていないのかということを調べています。
その結果わかったこととして、特定の決断方法や行動パターンを持っているユーザーは、そうでないユーザーに比べて、実際にリターンが大きかったということが分かっています。
具体的には、なんと投資パフォーマンスが30%も高かったということです。
一般ユーザーよりも30%も大きなリターンを得ることができているということは、これは投資だけで生きていくことができるレベルだと思います。
研究チームは、ユーザーの投資判断の場面における決断を分析することにより、3つのパターンに分けることができたとしています。
アイソレーション・チェンバー:Isolation Chamber
1つ目のパターンがアイソレーション・チェンバーという考え方で、これは他のトレーダーをほとんどフォローすることなく、自分が思いついたアイデアを中心に投資判断を行う意思決定のスタイルです。
他のトレーダーをフォローして情報を取り入れるということをせず、自分で思いついたことを中心に投資判断をしていくという方法です。
エコー・チェンバー:Echo Chamber
2つ目がエコー・チェンバーという考え方で、これは人との結びつきが極めて高いタイプで、チームで活動するかのように、多くの人と知識や情報の交換を行い社会的学習を使うことにより決断を行う意思決定のスタイルです。
ですから、アイソレーション・チェンバーとエコー・チェンバーの大きな違いとしては、アイソレーション・チェンバーは自分の情報をあまり周りに出したり他人の情報を取り入れることはなく、自分の頭の中で考えて意思決定を行いますが、エコー・チェンバーは周囲のユーザーと深く話し合って意思決定を行います。
スイート・チェンバー:Sweet Chamber
そして、最後がスイート・チェンバーです。
これは、他の人からのアイデアと自分のアイデアのバランスをとって投資判断をしようとする意思決定のスタイルです。
要するに、周りの投資家の言っていることや社会のトレンドなども見るけれど、そこに自分の考えを加えてアレンジしていくというトレードを行うタイプです。
相手の意見を参考にするだけではなく、それを参考にした上で自分なりにアレンジしていくことで意思決定をします。
アイソレーション・チェンバー(Isolation Chamber):自分の頭だけで考える
エコー・チェンバー(Echo Chamber):周りの意見を聞いてチームで考える
スイート・チェンバー(Sweet Chamber):周りの意見を聞くけれど自分なりのアレンジをして考える
この中でどのタイプが最も投資パフォーマンスが高かったのかというと、もうなんとなくわかると思いますが、スイート・チェンバー:Sweet Chamberの意思決定をする人たちが、一番パフォーマンスが良かったということです。
他の2つのタイプについては、それほど差はなかったということです。
この2つのタイプに比べて、スイート・チェンバーの投資家たちは、なんと1.3倍も収益率が高かったということが確認されています。
ですから、周りの人の意見や情報を参考にすることはとても大切ですが、そこに自分なりのアイデアや自分なりのアレンジを加えることができなければ、投資においては凡庸なパフォーマンスしか発揮することはできないということです。
これは投資以外でももちろん使うことができる考え方です。
社会的探索のポイント
周りに流されてしまうのもダメだけれど、周りを見ないのもダメだということであれば当たり前だと思う人もいるかもしれませんが、この研究チームは、興味深い考察をしています。
優れた意思決定や決断を行うためには、投資判断を行う場合も投資以外の場合でも同じだと思いますが、社会的探索という行為を行うことが必要だと言われています。
この社会的探索というものが何かと言うと、いくつかのポイントを踏まえた上で周りの人の意見を聞いたり自分の身の回りにある情報を集めることです。
つまり、一定のルールを守った上での社会的な情報収集が大事だと言われているわけです。
では、具体的にどのようなポイントを押さえればいいのでしょうか。
それは2つのポイントがあります。
「時間をかけて新しい人に接しましょう」
時間をかけて新しい人や自分が知らないところからの情報に触れて、自分とは違うどんな考え方があるのかということを探るというのが1つ目のポイントです。
この際には、一番ベストな考え方をしている人を探そうとか、最善のアイデアを探そうとは決して考えないことが大切です。
ですから、できるだけ自分とは違う考え方を持っている多数の人たちと会って、幅広くたくさんの考えに触れるようにするというのが1つ目のポイントです。
僕たちは、投資に関する判断をする際も、人生における決断をする際にも、大抵の場合、最初から一番良い判断を求めたり最善の方法を追い求め、一番賢い人は誰だろうと考え、その人のところに行こうとします。
ですが、これは大きな間違いで、最善の意思決定をするためには、周りの意見も参照しながら自分のアイデアも加えてアレンジする必要があります。
そのアレンジをして独自性を出すためには、自分とは違う考え方にたくさん触れて、その上で自分の考え方や意思決定を客観視することが必要になります。
そうすると、みんなが陥りがちな落とし穴も見えてくるし、逆に、みんながやらない意味がないこともあるので、そういったことも見えてくるようになります。
ですから、自分とは違う考え方にいかに触れるのか、そして、自分が支持していることであっても支持していないことであっても、それが優れているものであってもそうでないものであっても、たくさんの考え方に触れるということが重要になり、その方が僕たちは決断力が高くなるし優れた意思決定をすることができるということです。
よく一時大きく稼いだ成功者や投資家が気が付いたら落ちぶれてしまうということもよくあります。
これは、この優れた決断をするためには多様性に触れるということが重要になるからです。
人は経済的に成功したり社会的地位が上がると、多様性として考えた際に、周りに自分より下の人しかいなくなるので、周囲の意見を取り入れなくなってしまいます。
そうなると周りが見えなくなってしまい、正しく決断する能力も衰えてしまうということです。
ですから、正しい決断をするためには、良い意思決定や良い判断ができる人が必要なのではなく、できるだけたくさんの自分とは違う考え方を見るということが大切になります。
「 考えやアイデアをかき混ぜましょう」
2つ目のポイントは、スイート・チェンバーの人たちは、例えば、AさんからもらったアイデアをBさんにぶつけて、どんな反応をするのかということを行います。
自分が集めた情報や考え方を別の人にぶつけて、そのリアクションを見ます。
そこで返ってくるリアクションも見て、さらに多様性を高めていこうとします。
ですから、自分がたくさんの考え方や情報を集めるだけではなく、それをかき混ぜて他の人にぶつけた時にどんな反応をするのかということをチェックして、さらに新しいアイデアを作ろうとするわけです。
実際に、そのようにしてアイデアを他の人にぶつけながら、どれが共感を呼ぶのかとか、どれが一番否定されやすいのか、それが一番穴なのかということを見ながら、自分の戦略を精査していきます。
つまり、質の高い決断ができる人は、多種多様な人たちに意見を求めることができる立場にあり、他の人から集めたアイデアをそのまま、もしくは、アレンジを加えつつ他の人にそれを提示することによりリアクションを測ることで、最も正しい決断にたどり着くということをしている人です。
これこそが社会的探索です。
これは AI の機械学習に近いと僕は思いましたが、これが投資パフォーマンスを高める決断方法だということです。
これは投資以外でも使えると思いますので、ぜひ皆さんも試してみてください。
投資・重要な意思決定で正しい判断をするためのおすすめ
今回は、この続きとして「カオス理論を応用した決断スキル〜DARPA(米国国防高等研究計画局)が採用するフレームワークとは」を紹介しています。
これは国防にも使われるレベルの複雑な問題にも対応できるフレームワークを紹介しています。
これを知っていると、皆さんが悩んだり迷った時に、その悩みを分類することで最適な決断を導くことができるといった内容になっています。
ぜひチェックしてみてください。
そして、もうひとつおすすめの動画として、「天才を超える唯一の方法クリティカルシンキング入門」も紹介しておきます。
決断のためには物事をいろいろな角度から見ることができるようになることも大切だと思います。
今回のおすすめの本としては、投資でも使えるおすすめの本をいくつか紹介しておきます。
まずは、『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』です。
投資関係の友達もいないしどこから情報を仕入ればいいのかがわからないという人もいると思いますので、そのような方は本から取り入れてみるのもいいと思います。
『市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学』もおすすめです。
そして、決断力を高め良い判断をしたいという方には、『決定力! 正解を導く4つのプロセス』がおすすめです。
ぜひチェックしてみてください。
リサーチ協力の鈴木祐さんの論文解説チャンネルもオススメです
Supported by Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
本内容は、上記の参考資料および、動画を元に考察したもので、あくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
参考:Alex “Sandy” Pentland (2013)Beyond the Echo Chamber