この知識はこんな方におすすめ
- 効率的に体を鍛えたい
- 求める効果に対して適切なトレーニングをしたい
従来のストレッチには意味がない!
今回はストレッチが意味ない説ということで解説させてもらいます。
色々な敵をまた作ってしまいそうな気もしますが、誤解がないように一応言っておくと、ストレッチ自体にまったく何の意味もないということではなく、一般的には運動する前には怪我を予防するためにストレッチをすることが大切だと言われていますが、それが実は意味がないということです。
例えば、体の柔軟性を鍛えたいという場合には当然ストレッチをするのは意味がありますが、運動をする前に特に従来通りのストレッチをする意味は怪我の予防としてはないということです。むしろ、筋トレ前に行うと逆効果になってしまうということを研究から紹介させてもらいます。
今まで多くの方がしてきたようなストレッチやイメージしているようなストレッチには意味がないということで、であれば、どのようにストレッチを使えばいいのかというところまで解説させてもらいます。
このストレッチが役に立たないという話は、一般的にはあまり知られていないと思いますが、詳しい方や専門家の方、あるいは、そのような専門書や文献を読まれている方にとってはほとんど常識のような話になっています。
ストレッチが実は役に立たないということは結構多くの研究で示されていて、特に系統的レビューやある程度以上信憑性の高い調査によって確認されていることでもあります。
運動前のストレッチでケガ予防?
例えば、運動する前によく体を伸ばして怪我を防止するということをしますが、実際には運動する前に体を伸ばしても伸ばさなくても怪我の予防に関しては効果は変わりません。運動する前に体を伸ばさなかったら怪我をするわけでもないし、体を伸ばしたから怪我をしないというわけではないということが示されたレビューもあります。
さらに、ストレッチにより筋肉を伸ばすことで筋トレの効果が上がるのではないかということを言われる人もいますが、これも実際には間違っています。
実際には、筋肉を伸ばすと筋トレと同じように筋肉に対しては細かい傷が入ります。この微細な傷がつくせいでかえって運動のパフォーマンスが落ちてしまいます。
そういう意味では、ストレッチというものは怪我の予防にもあまり意味がないですし、運動や筋トレの前に軽く体を動かして筋トレや運動の効果をあげようと考えてする意味もないということです。
このように運動の前にストレッチをする意味はないのではないかということが様々な研究により示されています。
僕も実際にストレッチに関してちゃんと調べるまでは知りませんでしたし、知らない人も多いと思います。
もちろん柔軟性を高めるためには有効ですが
ですが、誤解しないでいただきたいのは、ストレッチ自体に価値がないということではなく、運動や筋トレとは別で体の柔軟性を高めたいというのであればしたほうがいいです。
ただ、それは運動をしない日であったり、運動するタイミングとは別のタイミングでストレッチをした方がいいのではないかということです。運動や筋トレをするタイミングとは別のタイミングで、柔軟性を鍛えるためのトレーニングとしてしたほうがいいです。
それでも、今まで運動の前のストレッチが大切だと教わってきたしそんなことはないのではないかと考えられる人もいるでしょうし、当然ですが賛否両論あるかとは思います。
しかし、このようなことは結構覆るものです。ですから、僕が今回紹介しているストレッチが意味がないという話もいずれ覆る可能性も当然あります。
軽いストレッチでパフォーマンスUP?
そこで、もう少し掘り下げて調べてみると興味深い研究があり、ストレッチが意味がないと言うけれど時間を調節したらどうなのだろうかということを調べたものがあります。例えば、体の1つの部位に対して45秒行った場合と30秒行った場合と15秒行った場合など、時間的に軽めのストレッチにしたり時間をかけてしっかり行った場合で、その効果も変わってくるのではないかということを調べてくれたのがガジ大学の研究です。
この研究によると、1つの体の部位に対して15秒以下のストレッチの場合には、むしろ、筋肉のパフォーマンスが上がるのではないかということが出ていますので、ストレッチを怪我の防止のために行う意味はやはりないとは思いますが、するのであれば、各部位15秒以内のストレッチを軽く行うぐらいがいいのではないかということが示唆されています。
この研究では、15人のアスリートを対象に4つのパターンのストレッチを行なってもらいました。対象人数は少ない実験ではありますが参考にはなると思います。
- 各部位を15秒間ストレッチした場合
- 各部位を30秒間ストレッチした場合
- 各部位を45秒間ストレッチした場合
- ストレッチをしなかった場合
この4つの場合を比較して、ストレッチはした方がいいのかしない方がいいのか、もしした方がいいと言うのであれば、どれぐらいの時間すればいいのかということを調べようとしたものです。研究チームはストレッチの時間を変えることによって最適なストレッチの時間を見つけようとしたわけです。
ちなみに、この実験とは関係のない別の系統的レビューでも、各部位30秒以下のストレッチであればパフォーマンスを下げたりすることはないのではないかということも出ています。
ストレッチは軽めにしたほうがいいという話を聞いたことがある人もいると思いますが、おそらくは、それはこの論文が元になった話かと思われます。
これをさらに詳しく調べようとしたのがこのガジ大学の研究です。
それぞれの時間でストレッチを行ってもらった後に、筋力テストを受けてもらい、そのパフォーマンスに変化が現れるのかということを調べました。
その結果わかったこととして、
45秒のストレッチを行った場合:全員が筋力が著しく下がった
筋力の減少度としては、最大で11%も筋力が落ちたということです。
30秒のストレッチを行った場合:そこそこ筋力は低下したが、足の筋力に関してはやや上昇した
なぜ足の筋力だけやや上昇したのかということについては理由は触れられていませんが、30秒間のストレッチの場合であれば、筋力は若干下がるけれど足の筋力だけは少しだけ上がったということです。これはプラス4%からマイナス8%ぐらいの範囲だったそうですので、30秒のストレッチであると少しだけやりすぎなのかぐらいになります。
15秒のストレッチを行った場合:筋力が上がる傾向があった
この研究では筋力が上がる傾向が確認されていて、筋力の変化としてはマイナス1%からプラス7%ぐらいだったということです。
そういう意味では、筋トレの前に行うストレッチとしては、1つの部位に対して15秒ぐらいの軽めのストレッチがどうやら良いようです。
この実験で確認したのは筋力テストですから、全力で走ったり激しい運動の場合にストレッチの効果がどうなのかということはわかりませんが、基本的には、筋トレの前についてはストレッチは各部位15秒以内ぐらいで軽めに行った方が筋力は上がるのではないかということがこの研究により示唆されたわけです。
運動の後に行うストレッチは?
では、ストレッチは筋トレの前に軽く15秒以内行う以外に使い道はないのでしょうか。
もちろん、先ほど紹介したように柔軟性を鍛えるという意味では使えますが、それ以外に、ストレッチを運動や筋トレとは別のタイミングで定期的に続けて行うと、むしろ、筋力のアップに貢献してくれるかもしれないという別の実験もあります。
これは日本の研究で早稲田大学などが行なってくれた研究で、20人の男性を2つのグループに分けて、足を伸ばすストレッチを週に3回程度、1回のストレッチを30秒ぐらいで運動の後に6セット行なってもらったグループと運動の後に全くストレッチをしなかったグループに分けました。
つまり、運動をした後に1回に30秒ぐらいのストレッチを6セット週に3回行った場合としなかった場合で、筋力の発達に対して何か影響が出るのかということを調べました。
運動の後に行うストレッチは筋力に対してプラスになるのかマイナスになるのかということを調べようとしたわけです。
その結果わかったこととして、6週間後に筋力テストを行ったところ興味深い結果が確認されています。
運動をした後にストレッチをしたグループは、最大筋力と筋力発揮率(RFD:Rate of Force Development)が20%も上昇していました。
ただし、デメリットもありストレッチをすることにより筋持久力は20%程度低下していました。
つまり、運動の後のストレッチに関しては、最大筋力と素早く筋肉を動かす能力に関しては効果があるかもしれないけれど、筋肉がゆっくり持続して力を発揮する能力に関しては下がってしまうかもしれないということです。
ですから、最大筋力や素早く筋肉を動かす力を鍛えたいという場合であれば、運動した後にはストレッチをすると効率的に伝えることができますが、持続的に力を発揮することを求めるのであれば運動の後にストレッチはしない方が良いのではないかということが示唆された研究です。
まとめると、従来型の運動する前にガッツリ行うストレッチはまず意味がないということで、怪我の予防のために行うのも意味がないということが研究により確認されているということで、さらに、ストレッチはどのように使えばいいのかと言うと、筋トレなどゆっくり筋肉を使う運動をする場合にはその運動の前に軽く1つの部位に対して15秒程度する場合であれば効果があるかもしれない。
そして、運動後のストレッチに関しては、継続的に行うと最大筋力や筋肉の瞬発力を鍛えるために使いますが、筋肉のスタミナに関してはマイナスになるかもしれないということになります。
ストレッチの使い方
筋トレを行う前に1つの部位に15秒程度で軽く行う
柔軟性を鍛える場合にはストレッチは意味はあるけれど、それ以外の場合にはあまり意味がないかも
運動後のストレッチは最大筋力と筋肉の瞬発力を鍛えるという意味では有効なのではないか
定期的なストレッチを行うことによって、長期的に見ると運動のパフォーマンスが上がるという研究は他にもありますので、運動とは別のタイミングで行うのはいいと思いますが運動をする前にストレッチをするのはやはり意味がないのではないかということです。
体の柔軟性は大切だと思いますので、運動や筋トレとは別で行うのがおそらくは科学的には一番理にかなった方法だと思われます。是非試してみてください。
ちなみに、僕の場合はそれほどストレッチをガッツリ行うわけではありませんが、どちらかと言うと心肺機能を鍛える方が大事だと考えています。僕の場合は頭を使って仕事をすることが多いので、心肺機能を鍛えることにより脳にたくさん血液を送ることができるようにしておいた方がいいからです。
僕が行っているのはタバタ式のトレーニングでHIITをいつも行っています。
このHIITに関しては、わかりやすい動画付きの本がありますので今回のおすすめの本として紹介しておきます。興味のある方は『田畑 泉 の 噂のタバタトレーニング 全トレーニング動画付き』を是非チェックしてみてください。
今回のような話をすると、ストレッチであっても運動であっても、そもそもそれを続けること自体ができないという人がいると思います。やらなくてはいけないということは分かっているけれどどうしても続かないという人が少なくないのではないでしょうか。
女性の場合であれば、筋肉をつけるのが嫌だから筋トレはしないけれど軽いストレッチだけしているという人も多いと思いますが、女性こそ筋トレをした方がいいです。筋トレは軽い負荷でたくさんの量をすると筋肉は太くなりますが、筋肉を引き締めたいのであれば重い負荷で少ない回数を行った方がいいということがいわれています。
他にも細かいポイントは色々とありますが、いずれにしても男性も女性も筋トレはしたほうがいいと思います。
筋トレでもストレッチでもそれを続けるためには習慣化のテクニックが必要です。今回のおすすめの動画としては「習慣が身につく確率を【極限まで高める7つの心理テク】」を紹介しておきます。習慣を確実に身につけるためのすぐにできる7つのテクニックを紹介しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
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リサーチ協力
Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
本内容は、参考資料から考察した科学の面白さを伝えるエンタメです。あくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15076777 https://www.bmj.com/content/325/7362/468.full
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10593217 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9368275
https://well.blogs.nytimes.com/2009/11/25/phys-ed-how-necessary-is-stretching/ https://www.mdpi.com/2075-4663/6/1/24 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21659901 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21373870
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15377965 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17326697
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/publishahead/Effects_of_6_Week_Static_Stretching_of_Knee.95172.aspx