最近あまりビジネス系の話を紹介していませんでしたので、 今回はビジネスでも使えるカリフォルニア大学のピークテクニック(Pique Technique)というものを紹介させてもらいます。
この研究では、相手に興味を引かせる方法や説得に応じやすくさせる方法を調べてくれています。
どちらかというと交渉というよりも、自分が新しい商品やサービスを作ってその価値を分かってもらいたい、売り込みたいという時に、どのような伝え方をするともっとも相手の興味を引くことができるのかということを調べてくれたものです。
ピークテクニック
このピークテクニックとは、ちょっと「えっ!?」と思わせる言い方をすることで、興味を引くテクニックです。
研究チームは、ホームレスの人たちに依頼して、歩いている人なしに小銭をくれませんかとお願いをする実験を行いました。この時に、ピークテクニックを使った場合と使わなかった場合で、どれぐらいお金をもらえる確率が変わるのかという事を調べました。
お願いの仕方には3通りありました。
- ただ小銭を下さいとお願いしたグループ
- 25セント下さいとお願いしたグループ
- 37セント下さいとお願いしたグループ
要するに、ただ小銭を下さいとお願いしたグループと、硬貨を1枚欲しいとお願いしたグループ、何の金額かよくわからないキリの悪い金額を求めたグループに分けました。
このような、意外なことを言って、相手にえっ?!思わせるのがピークテクニックです。
その結果、もらえた金額の差がとても大きかったということです。
ただ小銭を下さいとお願いしたグループ:44%の確率でお金がもらえました
25セント下さいとお願いしたグループ:64%の確率でお金がもらえました
37セント下さいとお願いしたグループ:75%の確率でお金がもらえました
ピークテクニックを使うことで、およそ1.7倍もお金をもらいやすくなったということです。
意外性が反論を抑える
このピークテクニックには、相手の頭の中で起こる反論を抑えてくれる効果があります。
相手にえっ?!と思わせることで、相手のオファーに対する反論より前に、疑問が頭の中に浮かびます。
この実験で言うと、37セントという中途半端な金額をお願いすることで、相手の頭の中に、37セントというのは何のお金なんだろうという疑問が浮かび、その疑問が、何でお金をあげないといけないんだという反論を頭の中から追い出したということです。
定番の説得のテクニックよりも効果が!
ちなみに、他の研究でもこのピークテクニックの検証は行われていて、例えば、ニューヨーク州立大学のおこなったもので、過去のピークテクニックに関する研究をまとめたメタ分析があります。
募金を使った実験で、他の説得のテクニックと比べてピークテクニックがどのくらい効果が違うのかということを調べています。
フットインザドアという一旦小さなお願いをしてから大きなお願いをする定番の説得術の効果量は0.11ぐらいでした。
これに比べてピークテクニックの効果量は0.27でしたので、倍以上の効果があったと言えます。
ピークテクニックは、交渉の初期段階において使うにはとても効果があるテクニックだということになります。
ですから、例えば、皆さんの商品を買おうかやめようか迷っている人には、ピークテクニックは効果があります。
説得のテクニックは、相手の心を動かすテクニックですから、知っていると人生を大きく変えてくれます。相手の心を動かすことはビジネスでも人間関係においても大切になります。
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▶︎https://ch.nicovideo.jp/mental/blomaga/ar1760214
リサーチ協力:Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
参照:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1559-1816.1994.tb00610.x
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/15534510.2017.1305986?journalCode=psif20