僕はメンタリストとして出させてもらいましたが、人の心を読むのはとても難しいです。自白に頼った方がはるかに良いです。つまり、相手に本音を言いやすくするテクニックの方がはるかに良いです。僕がテレビでしていた心理戦のようなものも同様ですが、相手に心を読んでいるように見せるには方法は2つあります。
ひとつは、プッシュステイトメントを使った尋問のテクニックです。相手にプレッシャーを与えて本音を出させるものです。もうひとつは、コールド・リーディングをはじめとした相手の心を読んでいるかのように見せるテクニックです。
実際には人間の行動は読めても心は読めません。何故かというと、自分が何を考えているかとか、どんな心を持っているかなんて誰もわからないですよね。僕も自分の行動や習性はわかっても自分の心はわかりません。
ですから、心なんて何処にもなく、「心を読まれた」と思わせる体験自体が重要なわけです。これを学ぶのがメンタリストのつくり方です。
ただ、相手の心理状態を相手の行動から読み取る方法はそんなに多くはありませんが無くはないです。
ではどうすればいいのか?
声に注目すると意外とわかることが多い
今回は、「声」に注目します。
以前人狼ゲームに呼ばれて行ったことがありますが、目隠しをして人狼をさせられました。何も見えませんが結構あたりました。
人間は相手の顔や動きを見るよりも、「声」や話している「文章」に注目したほうが嘘を見抜く確率が上がるという研究もあります。これは、表情やしぐさを見てしまうとその人の服装や身につけているもの、表情や髪型などで結構バイアスがかかってしまいます。例えば、きれいなブランドの服を着ていると信憑性があるように感じてしまったり、背が高いと説得力が上がったりと、人間はいろんなバイアスに影響を受けているものです。それがなくなるからかえって目を閉じたほうが当てやすいという研究でした。
声のトーンで分かる相手の本心
そこから派生して、今回は皆さんが話している相手が皆さんのことをどう思っているのかということを「声」と「声の高さ」で分かるというテクニックです。相手と話している時に相手の声が上がるのか下るのか?複数人で話している時に自分に対して話している声のトーンと隣の人に対して話している声のトーンがどれぐらい違うのかと言うようなことを見ると、皆さんがどう思われているかが分かるというものです。
基本的には声が高いか低いかを見ればいいわけですが、もともとの研究はイギリスのスターリング大学によるものです。
結論としては、
会話中に相手の声が急に高くなった場合:自分を下げる行為
会話中に相手の声が急に低くなった場合:自分の力を示す行為
となります。
つまり、声が高くなった場合は相手は恐れていたり負けを認めているような可能性があります。逆に声が低くなる場合は見下されています。
たったこれだけのことでも気にしてみると、パワハラ上司や面倒な人に対しても相手がどう思っているのかが見抜けますので是非実践してみてください。
もとのスターリング大学の実験では、学生たちに架空のインタビューに参加してもらいます。インタビューされる側の職業や社会的地位を3パターンに分けて実験し相手の職業や社会的地位によってどれぐらい学生たちの声が変わるのかということを調べました。
- インタビュー相手①:超強面で威圧的な防犯責任者
- インタビュー相手②:ビジネススクールの偉い主任教授
- インタビュー相手③:何処にでもいるような普通の人
この3つのタイプに対して学生たちがどんな会話をしたかを記録し、対話する相手によって学生の話し方や声のトーンや態度がどのように変わるのかということを調べました。
その結果、相手が自分よりも格上だと思った場合には明らかに声のトーンが上がりました。つまり、自分が尊敬していたり怖いと感じる人と話す時には人の声は高くなるということです。
相手は自分より格下だとか、同じぐらいだなと思った場合は、学生たちの声は低くなりました。相手をどう見ているかで声のトーンが上下するということです。
声のトーンは使い分ける
低い声というのは支配的な印象を相手に与えるものです(女性も傾向はありますが、男性の場合は特にこの傾向があります)。逆に高い声だと親しみやすいとか対等に自分を見てくれているという印象を与えます。
ですから、この使い分けが大事です。
僕がライブ配信などで声高めで早口にしているのも、上下関係とか好きではないですし、見てくれている人に対しても見たければ見ればぐらいでお互いに対等だと思っていますので、声は高めでできるだけ多くの人にバイアスなく声が届けばと考えているからです。できれば、楽しく知識を知ってもらい試してみようという気になってほしいので声のトーンを上げています。
例えば、女性は電話で話す時に声のトーンがいつもより上る人がいます。これは若く見せようとしているという説もありますが、この声の研究からすると高い声で話して、へりくだった印象を与えた方が集団の中でうまくやっていけるからではないかと思われますし、男性の場合は威厳や力を見せつけようと低めで話たりするということが起きるのかなと思います。
電話口のように声のトーンが変わる場合もありますが、話が盛り上がってくると話題によっても声のトーンが変わる場合があります。例えば、相手が「あっ、この人わかっていないな」と思った場合は声のトーンが下るので、まずいことを言ったなとか、相手は詳しいようだからこの話題は避けておこうということもわかるわけです。逆に相手が感心したり皆さんのことを上に見たりしたら「へ~、そうなんだ!」と自然と声のトーンが上がります。
このように相手とのパワーバランスを計るために声のトーンが使えるということです。
普段の声は高いほうが?低いほうが?
僕のように特殊なことをする場合を除いて、声のトーンは低いほうが良いかも知れません。
全く別の2013年の研究で、声のトーンが低いCEOほど金持ちになりやすいということがわかっています。人を率いたりリーダーシップを発揮していきたいというのであれば、わざと声のトーンは低めに話すようにしたほうが主導権は握りやすく舐められにくくなりますので試してみていただければと思います。
何事も試すことが大事です。科学は決して万能ではありませんが、皆さんが何かをする際に大きなヒントを与えてくれるものです。誰でもどうせならうまくいく可能性の高い方法を試したいですよね。
他の紹介している知識も是非参考にしてみてください。
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参考動画
他人の心を読むためのちょっと意外な科学的トレーニング
▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1546191723
恋愛のチャンス到来を見抜く!脈アリ見抜く心理学
▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1526812359
メンタリスト直伝のリーディング(心を読む)テクニックはこちら
▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1460600466
参考
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0179407