この知識はこんな方におすすめ
- 納得される話ができるようになりたい
- わかりやすい会話ができるようになりたい
解説と説得と大衆煽動
今回は解説力についてですが、もちろん相手にとってわかりやすい解説が重要です。
わかりやすい解説があった上で、そこにさらに説得力を合わせることができれば、相手の心を動かすこともできます。
ただ、わかりにくい解説の場合には、そもそも話を聞いてもらえなくなります。
特に現代ではどんなものでも良いものがあふれています。
そうなると、皆さんが何か新しいことを始めようと思っても、それがどれだけの価値があるのかということを伝えることができないので、相手の行動を変えることはできません。
この相手の行動を支えてもらいたいと思った時に、一生懸命説得しようとする人がいます。
例えば、怪しいビジネスの勧誘をされる時に、一生懸命言われれば言われるほど話が早く終わらないかと思うようになるはずです。
相手を説得するということを考えると、説得力や大衆煽動についても今までに解説してきたことがあります。
プロパガンダ:広告・政治宣伝のからくりを見抜く
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
国や政治家が人を動かすために使ってきた大衆煽動、僕の人生を変えてくれた本でもある『影響力の武器』をはじめとする説得力に関する研究もありますが、そこまで行かなくても相手の態度を柔らかに変えたいという時に必要なのは「解説力」です。
わかりやすい解説は相手に納得を生みます。
人を説得することが苦手な人でも、解説する力を身につければ相手を納得させることはできます。
納得させることができれば、相手は勝手に行動を変えてくれます。
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僕はほとんど案件は受けることがなく自分が本当に良いと思った本やワインを紹介して多くの人が買ってくれますが、これは説得というよりは解説する力によるものだと思います。
わかりやすい解説をして、それが本当に良いものであれば勝手に相手の行動が変わります。
相手にとって都合が悪いことや相手が損をするようなことで、相手に条件を飲ませなくてはいけないとなると説得力が必要になります。
あるいは、それがおかしなことであっても相手に信じ込ませたい場合には大衆煽動まで学ぶ必要があります。
ですから、皆さんが本当に良いものだと信じているものを相手にわかってもらいたいのであれば、この解説について学ぶだけで十分です。
人を言葉で動かすという点では同じですが、それぞれ使い分ける必要があります。
対人のスピーチやプレゼンなど人に何かをアピールするという時に、どのようなしゃべり方や動きが伝える力を高めてくれるのかという点では、こちらの本がおすすめです。
TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則
本当に話が通じなくて困るというような方は、まずはこちらの本から選んでみるのもいいと思います。
あなたの話はなぜ「通じない」のか
そして、人間の解説の上手さは自問自答をどれだけしているかということによります。
普段から疑問を持っていたり考えていることであればいつでも分かりやすく説明することができます。
普段から疑問を持っていないことは、一面的な説明しかできないのでテキストを読み上げるだけのようになってしまい伝わりません。
相手に合わせて表現を変えることができるのは、普段から様々な視点で物事を考えることができているからできることです。
そういう意味では、僕の本ですが、こちらの本でクリティカル・シンキングを学ぶというのは伝える力のためにもいい方法だと思います。
悩む力ー天才にすら勝てる考え方「クリティカル・シンキング」
オックスフォードが教えてくれる解説力
そんな説得について、オックスフォード大学が学生に向けて説得に必要な科学的な要素をまとめてくれています。
これは2011年のものですが、解説の基礎として非常に重要な8つのポイントをまとめてくれています。
解説を考える上で必要な要素をほぼ網羅してくれていると思えるぐらい分かりやすいものです。
オクスフォード大学では、優秀な経営者やソーシャルなリーダーを多数輩出していて、人前に立ってスピーチをしたり何かしらの説明をする立場にいる人たちが非常に多くいます。
オックスフォードによる解説というのは、僕たちが学んでも非常に有益なものだと思います。
わかりやすい説明の8つの必要要素
必要要素その1 :実践的な例を使いましょう
人は何かを説明するときに例を出しますが、「例え」が下手な人がいます。
大抵の場合、気の利いた例えをしようと思いながら失敗しています。
ですから、気の利いた例えを使おうとしないでください。
ただ実践的な例えが必要になります。
要するに、実践的で使える例えということです。
例えば、あるあるネタの芸人さんがウケる理由もここにあります。
多くの人が理解できて「確かによくある話だ」と思えるからです。
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何かを説明するときも同じです。
難しいことを説明するときにはできるだけ短くしてください。
一言で簡単に伝えて、その上で、誰でも共感できるようなよくある内容で例えてください。
誰でも使ったことがある内容に例えるのがベストです。
この時には、相手が体験したことがある内容が使えるならそれがいいと思います。
例えば、相手が以前会話した時に話していた内容などが使えると、相手はより理解がしやすくなります。
相手が独自に持っている例を使うことができればより強力になります。
例えば、論文では「レジャー」という言葉がよく使われます。
これはそのまま伝えると具体的なイメージが湧きません。
これは「学校や仕事を離れて行なっていること」となりますので、このような場合はそれは相手に質問してもいいと思います。
それによって、相手にとってのレジャーの具体的な例が分かれば、それ以降はその具体的な例に例えて話をするようにしてください。
必要要素その2 :個人的な経験の共有
自分の経験を例として使うというものです。
ストーリーテリングというテクニックがあり、人に解説する時には論理と感情の両方を合わせて使うことができます。
感情に対しても論理でも相手に訴える一番良い方法はストーリーとして伝えることです。
ストーリーの中には時系列があり、人はこの時系列を論理として捉えます。
その中の登場人物が論理的に会話をする場合もあれば、感情に任せて動いたり発言する場合もあります。
だからストーリーは面白くて引き込まれます。
感情に訴えるだけでもなく、論理で伝えるだけでもなく、感情と論理の両方がセットになっているのがストーリーです。
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とはいえ、このストーリーをゼロから作るのはかなり難しいものです。
小説はだから売れます。
小説は別に実践的な内容が入ってるわけでもありませんし、エンターテイメントにはなっても、そこで読んだ内容を自分の人生に実践的に使うにはなかなか難しいところがあります。
それでも、僕たちはなぜ小説を読むのかというと、そこにストーリーがあるからです。
そんなストーリーを小説家でもない僕たちが作ろうと思ってもまず無理です。
ですから、自分の経験を使って説明するわけです。
人間は自分の過去の経験を必ずストーリーとして記憶しています。
自分の経験を上手に使うことができれば、簡単に相手にとって分かりやすい解説をすることができます。
ただ、自分の経験を話す時に、自分の感情を極端に入れなかったり、逆に、自分の感情を極端に入れすぎて時系列が崩壊する人がいます。
ここには気をつけながら、なんとか自分の経験を話している中で感情と時系列のバランスを考えてみてください。
そうやって、自分で試しながら感情と時系列のバランスを磨き上げていきます。
例えば・・・
この文献にある「コード・スイッチング」という言葉の意味を理解するために私がよくやる例を出しましょう。
私は人と話をする時には、ひとつの話の中で方言を切り替えながら話すことがあります。
例えば、地元の友達と話す時には地元の方言が出たり、留学生と話す時には英語を使ったり、仕事の相手と話す時には標準語で話すようにする、使う言葉を切り替えることがあると思います。
これが「コード・スイッチング」という言葉の意味です。
このように話すと、具体的な概念としてはよくわからなくても、言葉を切り替えて使うという意味かと理解できるはずです。
自分が普段していることや過去の経験からわかりやすい例を出すようにしてください。
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例えば・・・「コンフォートゾーンから抜け出す」という言葉の意味を伝えるために僕がよく使う例えがあります。
「コンフォートゾーンから抜け出す」ことは難しいものです。
それは人は慣れ親しんだところから抜け出すことに強い抵抗を持つからです。
例えば、僕がテレビをやめるという決断をした時の話をするのであれば、やはり、それによって今まで積み上げてきたものが失われる感じがしました。
さらに、これから先に何が手に入るのかも分かりませんでした。
誰に相談しても、もったいないしやめない方がいいと言われ、考えれば考えるほど恐怖感が募るばかりでした。
このように話すと、相手も自分が何か新しいことに挑戦しようと思った時には手放すことを恐れるような気がすると感じるでしょうし、将来に不安を感じるというのも納得できると思います。
このように自分の経験をベースに例え話をすることによって相手に伝わりやすくなります。
これは当たり前のように思うかもしれませんが、実際に意識してしている人はほとんどいません。
これにはさらにメリットがあり相手の共感を得ることもできます。
特に、自分の経験の中でもつらかった経験や悩んだ経験を話すことができる人は相手に信用されやすくなります。
その信用を獲得するという点でも、自分のストーリーを話すというのは結構重要になります。
ストーリーテリングについては、これらの本がどれも参考になると思います。
キンドラー・ホール 心に刺さる「物語」の力 ──ストーリーテリングでビジネスを変える
カール・イグレシアス 「感情」から書く脚本術
クリストファー・ボグラー 物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術
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必要要素その3 :定義の提供
自分がこれから説明することの中で、伝えたいキーワードの定義を提供するようにしてください。
「プロパガンダ」とは国や政治家が国民をコントロールするために使う政治的な宣伝の一種です。例えば・・・
このように、 必要になるキーワードの意味を短く伝えてください。
いきなり例えを出すのではなく 、その前に明確なわかりやすい定義を入れるようにしてください。
それがないと、その例えが何のために使われているのかがわからないまま話が進むようになってしまいます。
ビジネスの世界では、この定義の提供をみんなわかっているだろうと考え省く人が結構います。
特に、よくわからないカタカナ用語を使う人がいますが、これは意外とみんな分かっていないか、定義が曖昧なまま使っている人の方が多いです。
それを使う際も「◯◯の話をこれからしますが、これは皆さんご存知の通り〜という意味です。」と専門用語の定義を1行ぐらいで分かりやすく伝えてから話し始めてください。
この冒頭で「なるほど」「へえ」と思わせることができれば、話をちゃんと聞こうという気になってくれます。
冒頭で専門用語の定義を一言分かりやすく伝えるだけで、相手に話を聞くモチベーションを作ることができます。
ここから先の残りの必要要素と解説についてはDラボで紹介しています。今回のおすすめの動画からチェックしてみてください。
さらに、今 Amazon では通常3000円ぐらいする僕のオーディオブックがなんと新刊も含めて無料で聴けるというキャンペーンを行っています。
まだの方はこの機会にぜひチェックしてみてください。
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リサーチ協力:パレオチャンネル
参考:Oxford University Press ELT(2011)8 easy techniques to help learners practice clarifying their explanations