職場がどうにも働きづらいという人が結構いると思います。
環境が悪い、待遇が悪い、面倒な上司がいる、馴染めない・・・。このような職場が働きづらいと思った時に、転職をする人もいますが、その転職先もまた働きづらいということが続く場合、自分の問題もあるかもしれません。その場合自分で気づくとは思いますが、そうは言っても、自分の性格を変えるにはどうすればいいのか分からないという人もいるでしょうし、どうすればその職場に馴染めるのかも分からないという人もいるのではないでしょうか。
心理学的に働きやすい職場に変える方法
働きにくい職場を心理学的に働きやすい職場に変える方法があります。それは、別に組織構造を変えたりする必要もなく、皆さんが特定の行動をとるだけで職場を働きやすく変えることができるということが分かっています。
これはとても簡単なことですが、周りがなかなか変わってくれなくても、皆さんにとってメリットがありますので、お勧めできることです。
科学はまれに一般的な考えとは真逆なことを答えとしてぶつけてくることがありますが、まさにこれがそうです。
同僚に親切にしまくろう!
職場を働きやすく変えたいのであれば、嫌な同僚にも親切にしまくろうという研究が出ていましたので紹介させてもらいます。
嫌な同僚になんて親切にしたくないと思うと思いますが、ほとんどの人たちがそう考えます。そうなると職場が固定されている場合は、簡単にさよならできるものでもありません。であれば、どうすればいいのかということを調べてくれたのが今回の研究です。
親切に関する研究は最近増えており、例えば、親切にすると人間のホルモンバランスが整うとか、幸福感の向上につながる、さらには、不眠症が改善されるとか、時間に対する焦りがなくなるなど、相手が誰であれ親切にするだけで、皆さんのメンタルにとても良い効果が出るということが分かっています。
つまり、親切は自分のためにするものです。
親切による効果
親切に関する研究は、今までの多くはラボの中で行われていました。ですから、実際に組織の中などで効果があるのかということは、指摘されてもいました。
カリフォルニア大学の研究で、コカコーラの社員を対象にして行なった実験があります。研究の内容や目的についてはあまり教えず、週に1回のペースで特定の記録を行ってもらいました。今どんな感情を持っているのか? その週にどんないいことや悪いことがあったのか? 仕事に対する満足度は? というようなことを聞きました。
これを4週間続けましたが、その間、対象の従業員を密かに半分に分けていて、半分の従業員には協力をお願いしていて、同僚に対して意識的に親切にしてもらいました。残りの半分の従業員にはコントロール群として何も言わずに参加してもらいました。
ちなみに、ここでの親切というのは、負担を感じるほどのものではなく、例えば、飲み物を買いに行く時に隣の人の分も一緒に買ってくるとか、お礼の言葉を言ったりメールをするというぐらいのレベルのものです。
その結果、親切にした側も親切にされた側もオートノミーというものがアップしていました。これは簡単に言うと、自分は仕事ができるという仕事に対する自信のような感覚のことです。親切にした側もされた側も自分の仕事に対してより自信を持つことができるようになったということです。
さらに親切にした側には、プラスアルファのメリットも生じており、人生と仕事への満足度が上がり、メンタルが落ち込む頻度が下がっていました。
つまりこれは、相手が自分の好きな人でも嫌いな人でも、自分自身が得られるメリットは変わらなかったということです。親切はとても自分自身のためにないということです。負担にならない程度の親切を心がけることが大切です。
親切は拡がる
この研究では他にも色々なことが分かっており、他人から親切にされた人は、その後、他の人に親切にする可能性が3倍も高くなったということも分かっています。誰かに親切にすると、その人がまた他の人に親切にする可能性が3倍も高くなるということです。これはその人が自分にとっていい人だろうが悪い人だろうが、変わらず3倍になります。こんなにも親切は広がるものである上に、親切にした人は自分自身に対して心理的なメリットがあるので、親切は人の為ではなく、さらには組織を変えてしまうものでもあります。
人間のポジティブな感情や親切な行動は伝染するものだということが分かっています。周りが親切にしてくれないとか、環境が悪いという前に、自分が周りに負担にならないレベルの親切をしてみてはいかがでしょうか。
最初はおせっかいだなと思われるかもしれませんが、自分のためになるので実践してみることをお勧めします。
ここで間違えないでほしいのは、負担になるレベルの親切は避けた方がいいということと、親切は自分でコントロールするものですから、誰かに物事を頼まれた時にそれを安易に引き受けるということではなく、嫌な時は断る力も必要です。親切にしたい時は必ず自主的に自分から行なってください。
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損にも負担にもならない親切のやり方はこちらの動画
Researched by Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
Reference:https://psycnet.apa.org/record/2017-24716-001