この知識はこんな方におすすめ
- 今年もあっという間だと感じている
- 毎日を充実させたい
「1年があっという間に過ぎてしまった」
毎年毎年なんとなく1年があっという間に過ぎてしまうという感覚を多くの人が感じているのではないでしょうか。
この1年があっという間に過ぎてしまったという感覚は、一般的には歳をとればとるほど強くなってくるものです。
若い頃の1年よりも年をとってからの1年の方が早く過ぎていくように感じるわけです。
これがなぜ起きてしまうのかということを今回は3つの原因から解説したいと思います。
理由その1 :ホリデーパラドックス
人間は当然ですが歳を取れば取るほど経験が増えていきます。
この経験が増えると、これはしたことがあるのかやったことがあると感じることが増えていきます。
子供の頃は全ての事が新しいので、何をしても面白いし新しいことに感動することがたくさんあると思います。
ですが、歳を取れば取るほど大抵の事は経験済みになっていきます。
そうなると新鮮な体験が少なくなってしまい、毎日を子供のような新鮮な気持ちで送ることができなくなってしまいます。
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僕たちは新しいものや見たことがないものを見たり経験すると、興味津々でそれを見て注目して集中するようになると思います。
そうではなくなんとなく経験したことだから理解できると感じて過ごすようになると、新鮮な気持ちで過ごすことが減ることによりひとつのことに集中したり注意する時間が減り、その結果、何も意識していない状態で自動運転のような事になり1日が終わってしまうということになります。
例えば、初めて通るような道であれば一生懸命考えながら道が間違えていないか確認しながら通ると思いますが、いつも次は通学で通っている家から最寄りの駅までの道などであればスマホを触りながら歩いたりしているのではないでしょうか。
何も考えずスマホを触りながら歩いているとあっという間に着いたような感覚になることもあると思います。
このスマホを触りながら自動運転のように家に帰るという場面以外でも様々なところで自動運転が起きています。
年齢を重ねれば重ねるほど経験によりこの自動運転できる場面が増えて、その結果意識していない間に行動していることが増えてしまい、気づいたら何もしていないのに1日が過ぎていたというようなことが多くなってきます。
理由その2 :代謝の問題
もうひとつの理由としては子供の頃の方が代謝が早いということがあります。
子供は大人では考えられないぐらいに元気ですし、止められてもいつまでも遊んでいたりすると思います。
代謝が速いことによって行動密度が高くなるので、子供は大人よりも1日を濃厚に使っているのではないかということです。
つまり、大人のようにダラダラしたり疲れたから一休みというようなことがなく、ずっと行動しているので単に行動量の問題なのではないかということです。
これにより子供の頃には1日にたくさんのことができていたけれど、年齢を重ねるにつれてその行動量が減ってくるので、その結果、昔はもっとたくさんのことができたはずなのに、まだこれだけのことしかしていないのに1日が過ぎてしまったという感覚を感じるようになるということです。
これにより時間の流れを早く感じるようになってしまうのではないかという理屈もあります。
理由その3 :脳の処理能力の低下
脳の処理能力が低下すると1日があっという間に過ぎるという考え方もあります。
デューク大学の研究で、脳が老化することによって情報処理能力が低下し、その結果として1日があっという間に過ぎてしまうという現象があるということが示されています。
これは脳と視覚情報に関するレビュー論文ですが、年齢を重ねると時間があっという間に過ぎてしまうというのは、人間の脳が目で見た情報をハイスピードで処理することができなくなっているからではないのかということが指摘されています。
自分の目を鏡で見ても他の人の目を見ても、人間の目はずっと言っても見ているというよりは小刻みに動いているのが分かると思います。
これはサッケード運動といい人間の目はぼんやりと何かを眺めている状態でも周りの情報を取り入れるためによりたくさんの情報を外から取り入れようとしているためのものです。
そこから自分の目当てのものや気になるものを見つけると200ミリから300ミリ秒ぐらい動きが落ち着いて、そこに対してイメージを固定してその視覚情報を脳が取り込むわけです。
これを人間の脳と目は繰り返しています。
年齢を重ねると脳内の電気信号のスピードが遅くなります。
そうなると処理スピードが衰えているので、若い頃であれば視覚情報を瞬時に取り入れることができたのにそれに若い頃よりも時間がかかるようになります。
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これはカメラに例えるのであれば若い頃は連射で何枚でもすぐに撮ることができたのに、シャッターボタンを押しても写真を撮れるまでに時間がかかりラグができるようになる感じです。
ですから、若い頃には同じ時間の中でもたくさんの視覚情報を取り入れることができますが、年齢を重ねるとその取り入れる量がそもそも減ってきます。
若い頃には連写スピードが速くてたくさんの写真を撮ることができて、それが歳をとるとシャッターが重くて撮れる写真の量が少なくなります。
それをそれぞれパラパラ漫画や動画にするところをイメージしてみてください。
若い人はたくさんの写真を使っているので滑らかな動きをしていますが、歳をとってからの写真は数が少ないのでそれをつなげると当然コマ落ちしたような状態になり早く終わります。
つまり、僕たちは年齢を重ねれば重ねるほど間のコマの部分が抜けてきます。
そうすると動画で加速再生するようなもので早く見ることもできるし早く聞くこともできます。
これで同じことが脳の中でも起きているのではないかということです。
1秒あたりの情報量が少ないせいでコマ落ちしてるので時間が早く過ぎているように感じるわけです。
ですから、若い人の方が1日を長く感じるというのは、目がカメラだとしたら撮っている写真の枚数が多いからです。
それをつなげて記憶という名前の動画を作っているので長く感じるわけです。
一方で、年齢を重ねると1日の時間は同じですが目で撮影している写真の枚数が少なくなりますので、その少ない写真で動画を作るので間が抜けて1日があっという間に過ぎたように感じるのではないかというのがこの3つ目の理屈です。
あっという間に過ぎるのを防ぐために
ということは、歳をとっても1日を早く終わらないようにするためにできることとして、この3つのポイントから考えるのであれば何ができるでしょうか。
最初の新鮮な経験が少なくなり1日があっという間に過ぎてしまうということを防ぐのであれば、新鮮な経験を増やせばいいわけです。
1年があっという間に過ぎてしまったということを防ぐのであれば、少なくとも毎年毎年新しいことに挑戦するということをすればいいと思います。
2つ目の代謝の低下の問題に関しては、いつも言っているように定期的な運動が効果的です。
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そして、最後の脳の処理能力の衰えとしては、やはり運動や食事がここでも重要になります。
脳の処理能力が衰えないような生活を心がけてあげると、歳をとってもたくさんの情報を処理することができてちゃんと1日を長く感じることができるようになります。
さらに付け加えるのであれば、脳がひとつひとつの情報を処理する能力は衰えてしまっても、それをひとつずつ吟味するための集中力を身につけることによって、自分の記憶に対する感度を高めることはできます。
そうすれば、旅行に行った時もなんとなく楽しかったということではなく、その旅行先で経験したひとつひとつの体験を細かく思い浮かべることも出来るようになります。
そうなると今年も色々なことがあって楽しかったと満足感を感じることもできるようになるはずです。
これはマインドフルネスや瞑想のトレーニングで身につけることができるものですから、時間があっという間に過ぎてしまうというのを防ぐためにも瞑想を取り入れてみるのは良いのではないかと思います。
時間を有益に使うためのおすすめ本
今回は年齢を重ねると1年があっという間に終わってしまうという理由を3つのポイントから解説させてもらいました。
この時間というものに関しては、毎日毎日が忙しくて1日があっという間に終わってしまうという人もいると思いますが、このような人が10時間を作り出すための方法について解説した本を出していますので、ぜひこちらを読んでみてください。
様々な時間にまつわる研究から週に40時間の自由時間をプラスアルファで作るにはどうすればいいのかということについて解説した内容になっています。
今回のおすすめの動画としては、時間をより上手に使うための方法について解説した動画を紹介しておきます。
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1人1冊ですが完全に無料で、無料の期間が終わっても一度ダウンロードしておけばずっと聞くこともできるそうですので、まだの方はこの機会にぜひチェックしてみてください。
リサーチ協力:パレオチャンネル
免責事項:本内容は科学の面白さを伝えることを目的としたエンタメです。なるべく多くの方に、科学的思考に興味を持ってもらうために、参考資料や過去の動画を元に、大胆な独自の考察したもので、事実を確定するものではなく、あくまで一説です。動画の結論は実際の研究とは異なる場合があります。
僕は文献を読むのが好きなタダの理系であり、専門家ではありません。また、多くの科学者とも同じように人間ですから、間違うことも多々あります。実際に知識を利用する際にはご自分で調査するか、専門家に相談してください。
参考:https://www.cambridge.org/core/journals/european-review/article/why-the-days-seem-shorter-as-we-get-older/2CB8EC9B0B30537230C7442B826E42F1