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なぜ教師は道を踏み外すのか【心理学的解説】

2019年11月3日

なぜ教師は道を踏み外すのか

DaiGo MeNTaLiST

この知識はこんな方におすすめ

  • 教育に関わる方
  • 子供達の未来を考える方
  • 職場の環境に悩んでいる方

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驕り高ぶる権力

神戸の教師のいじめの問題がありましたが、まさに閉鎖的かつ保守的な社会では権力は腐敗してしまうというのと同じだと思います。
実は教師というのは、このように道を踏み外しやすい状況に置かれているということを心理学的に解説させてもらいます。これはもちろん先生方が単に悪いという話ではなく、学校に限らず人間はなぜ閉鎖的な空間で権力を持つと驕り高ぶるのかという話です。

まずは、どのような人たちがあのようなヤバい行為をしてしまうかと言うと、いくつかのパターンがあります。

閉鎖的な空間の中で他人からの干渉がなく自分が一番偉いと思えてしまう環境

普通の会社で働いているのであれば、権力を振りかざしてきたり嫌な思いをさせられたら、そこから出て行ったり転職を考えれば、少なくとも従う必要はありませんし、それから逃れることは出来ます。
閉鎖的な空間であっても逃れることができれば問題はないわけです。
ところが、教師の場合だと、元々学校の先生をしていた人が一般の企業で働くというのは、ないことはないと思いますが少ないケースではないでしょうか。教師は教師として生きていくのが今でも多いと思います。
公務員も同じように一度公務員になった以上は安定しているしずっと公務員で働きたいと考える人も多いと思います。
そんな中で年功序列になっているので、何か問題が起きたとしても今回の神戸の事件のようにみんなで隠蔽してなかったことにしようとしてしまいます。権力を守ろうとする方向に動いてしまうわけです。

もちろん学校の教師というのは、子供達の未来を担っているという点で素晴らしい職業だと思いますし、ダメな医者は1人の患者を殺し、ダメな教師は30人から40人ぐらいの人生を潰すと言われるように、とても影響力のある仕事です。
にもかかわらず、どうしても今回のような問題を起こす人も出てくるわけです。

人間というものは、自分が世の中を思い通りにできる、あるいは、自分の人生を自由にコントロールすることができていると考えると、共感能力が低下してしまい、今回のようなやばいことをする可能性が出てきます。
これは権力者がなぜ共感能力が下がってしまうのか、企業の社長や大企業の経営者がなぜとんでもないことを言ったりしてしまうのかという話でも紹介しました。

モラルライセンシング

学校の先生の場合は、この現象に加えて、モラルライセンシングという現象が起こります。
モラルライセンシングとは、良いことをした人間は、他の所で少しぐらいは悪いことをしてもいいと考えてしまうというものです。

この現象は様々なところで確認されていて、企業の CEO を調べた研究で興味深いものがあります。
企業が社会奉仕活動や社会貢献活動を行うことはよくあります。売り上げの一部を恵まれない子供達にとか、このような寄付行為はこれ自体はとても素晴らしいものですが、実はそこにはリスクもあるということです。
人間は良いことをした後にはちょっと悪いことをしてもいいと考えてしまうものです。
この研究では、様々な企業の CEO を調べて、どれくらい寄付などの社会奉仕活動に貢献しているかということを調べ、それと同時に、その CEO が不正を行う確率を調べました。
その結果、社会奉仕活動が増えれば増えるほど、その CEO は不正をする確率が高くなるということが分かっています。
繰り返しますが、これは寄付などの社会奉仕活動が悪いということではありません。人間は自分が他人のためや世の中のためにいいことをしていると思えば思うほど、少しぐらいはズルをしたり悪いことしてもいいと考える性質をもともと持っているということです。

これは企業の経営者などだけでなく誰でも同じような事は起こります。
例えば、アメリカでよく警察官が民間人に乱暴を働いてしまうという事件がありますが、これも警察官がみんなのために日夜頑張っているのだから少しぐらいという考えが含まれている可能性もあります。

他にも、例えば、ダイエットをしている人がそのダイエットのためになるジムに通うとか運動を頑張ったとします。そうすると、ダイエットのためになるいいことをしたのだから、少しぐらいお菓子を食べてもいいかなと考えてしまいます。今日は頑張ったんだから、飲みに行った後にラーメンぐらい食べてもいいじゃないかと考えてしまいます。

さらにこれが危険なのは、自分がいいことをするところを想像するだけでも、このモラルライセンシングは起きてしまいます
週末にジムに行く予定を立てたとすると、それは思った瞬間に、その週は間食をしやすくなったり、ドカ食いをしたり自分との約束を破りやすくなるということが分かっています。

これは違う場面にも波及してしまいます。
例えば、お父さんがが週末に家族サービスをしようと考えたとします。それだけで理論上は浮気をする確率も上がるということが分かっています。
家族のためにいいことをするのだからと、こんなところでも、ちょっとぐらいズルをしてもいいではないかと考えてしまうわけです。

モラルライセンシングを防ぐには

このモラルライセンシングは誰にでも起きるものです。
教師の場合であれば、当然ですが教師というのは素晴らしい職業ですし、日々子供たちのために一生懸命頑張っている人が多いと思います。
人間は良いことをしていると考えると悪いことをしても良いと考える生き物なわけですから、誰にでも起こりうるものですし、どのようにすればそれを防ぐことができるのでしょうか。

人間は目の前のことを頑張ると、長期的な目標をおざなりにしやすいということがイェール大学やシカゴ大学の研究で分かっています。
このような長期的な目標を遠ざけてしまう現象をどうすれば防ぐことができるのかということに対しては、具体的には2つの手法があります。

1. Whyで自問する

自分が頑張った時には、頑張った時に感じるいい気分がモラルライセンシングにつながってしまいますので、頑張った時には自分が頑張って理由を考えてください。
ダイエットのためになる運動を頑張ったのであれば、その先にある目標があったはずです。勉強頑張った時にも、将来自分が起業するためとか新しいチャンスをつかむためとか長期的な目標があったはずです。
その長期的な目標を思い出すためには、「なぜ自分はそれをしたのか」ということを考えるようにしてください。
一回一回の行動が終わる毎に、Whyで自分に問いかけてください。そうすると長期的な目標が嫌でも頭の中にはっきりしてくるので、モラルライセンシングは起きにくくなります。

2. 今日したことは明日も起こる

人間は人生の半分ぐらいが習慣的な行動でできています。ですから、今日したことはかなりの高確率で明日も起こると考えてください
そうすると、今日はジムで頑張ったからラーメン食べようかと考えたとしても、今日頑張ったからといってラーメンを食べたら、明日も同じようなことをするだろうし、それが続いてしまえば、ラーメン食べ過ぎてしまってせっかく痩せようと思っているのに意味がなくなってしまうと考えることができるようになります。

自分が今誘惑に負けたら、明日も誘惑に負けるしそれはずっと続いてしまうと考えてください。
そう考えると、毎日の小さな積み重ねが続いて行った先に長期的な目標を達成することができるということを意識することができるようになります。
ですから、今日少し頑張って明日も同じように少し頑張れば、少しずつ階段を登っていくようにずっと続いていき自分が手に入れたい未来を手に入れることができると考えることができるようになります。
このように考える事によってモラルライセンシングが起きにくくなります。

体を壊してしまう職場環境とは

南フロリダ大学の研究で、仕事のストレスが高すぎて健康にまで害を及ぼしてしまう職場の条件というものが分かっています。
そのほとんどが学校の先生が当てはまってしまいます。
ですから、おそらく今回のような問題を根本的に解決するためには、教育委員会ももちろんでしょうが、職場環境を改善する必要があるのではないでしょうか。
学校の先生は仕事としてしんどすぎると思います。それが我慢しなくてはいけないしんどさなのであれば構いませんが、子供達の未来に対してプラスにならないことなのに、先生達にとって手間ばかりがかかることであればそれはなくした方がいいはずです。その上で本質的なところだけに先生たちの時間と労力を使うことができれば、子供達の為にも先生たちのためにもなるはずです。

この研究で分かっているやばい職場の条件とは、7つあります。人間はストレスが強くなれば強くなるほど、誘惑に弱くもなりますし意志力も低下してしまいます。
もちろん、だからといっていじめた人達を擁護するつもりもありませんし、どんなにストレスがあったとしても今回のようなことは絶対にしてはいけないことだと思います。
ですが、環境としてこのようなことが起きやすい状況だということをしておいてください。

「仕事の制限が多い」

例えば、自分がやらなくてはいけない仕事があるにも関わらず、必要な人員がいないとか、自分が何かしらの問題を解決しないといけないと考えているのに、そのために必要な情報が手に入らないというような状況です。
校の先生であれば子供達の成績を上げたいとか、子供達に対してもっとこんな教育をしたいと考えているにも関わらず、それが組織的な制約でできないとか、仕事上の制限が多いというのがストレスにより最も健康に害を与えるということが分かっています。
これは、疲労感や消化器官の不良と相関しているということです。

ちなみに、そのほかの条件としては、

役割の衝突
ネガティブなコミュニケーションが多い
長時間労働
役割が曖昧
自分の裁量で決められることが少ない
作業負荷が高い

このような環境は人のやる気を削いでしまいますし、教師たちのストレスが溜まってその結果教師たちの意思力が下がってしまえばどうなるでしょうか。
それは子供たちにも影響を与えてしまいます。
人間というものは、自分の周りにいる人たちの意志力や感情のコントロールに強烈な影響を受けるということが分かっています。
ですから、学校の先生達が無理せず楽しく仕事ができるような環境にしなければ、子供にとっても学校はつまらないところになってしまうと思います。
そういったところから不登校など様々な問題につながっている可能性もあるのではないでしょうか。
色々な複雑な問題が絡み合っていることとは思いますが、何かしら参考にしていただけたらと思います。

転職するとやばい会社はこちらも参考に!


やばい職場を見分けるチェックリスト


保守的な環境にも多い隠れて攻撃してくる人に利用されないために
いい人のふりして攻撃してくるカバートアグレッション対策
▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1548552722

リサーチ協力:Yu Suzuki http://www.nicovideo.jp/paleo

参照:‪Roy F. Baumeister ,Willpower: Rediscovering Our Greatest Strength
‪Kelly McGonigal Ph.D. The Willpower Instinct.


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