心理学的に見た独裁者の共通点
ウクライナの問題で、プーチンは頭がおかしいのではないかなどいろいろと言われています。
歴史を振り返ると、様々な独裁者がいましたし今もいます。
一般的に独裁者だと言われている人たちを心理学的に分析したら、何かそこに共通点はあるのでしょうか?
一体何が人間を独裁者にするのかということを解説していきたいと思います。
独裁者と人格障害に関する研究は結構たくさんあります。
これは間違わないでもらいたいですが、人格障害の人が悪いという話ではありません。
そうではなく、独裁者たちを調べたら共通している人格障害が色々と見つかったということです。
単なる人格障害とは比較にならないぐらい、様々な人格障害が組み合わさり独裁者が生まれているようです。
独裁者が行う意味がわからない行動は、それをただ単に頭がおかしいと言って片付けるのは簡単ですが、それを心理学的に見た人格障害の観点から考えると違う見え方もしてきます。
今後プーチンがどんな行動に出るのかということに関しても、それを考える上で参考になるのではないかと思います。
独裁者を作る【BIG6人格障害】
独裁者の性格をより一般的に反映していると思われる6つの人格障害があります。
1.サディスティック
2.反社会性パーソナリティ障害
3.パラノイド(妄想性)
4.ナルシスティック
5.シゾイド
6.スキゾタイパル
1.サディスティック人格障害
これは簡単に言うとサディストです。
ただ、これは性格的な傾向ということではなく、「人格障害」というのは日常生活が困難になる状態のことを言います。
「自分も苦しいけど止められない」という状況になった時に、初めてパーソナリティ障害や人格障害と言われます。
ですから、自分でコントロールできている状態で、それが好きでしている状態は別ですので分けて考えてください。
これは今回紹介する人格障害全てに言えることです。
人が苦しんでいるのを見るとつい喜んでしまうという人もいるでしょうが、社会生活が困難にならないのであれば、それは基本的には人格障害として扱われません。
サディスティック人格障害の特徴としては、他人が苦痛を感じているのを見ることに快感を覚えます。
そして、自ら残酷な行動や行為を繰り返します。
逮捕されたり物理的にそれができなくなるまで、その残虐な行為をやめることができなくなります。
そのせいで人間関係が崩壊して仕事や家庭にも問題が出て、社会生活に害が出ている場合に、それを人格障害と言います。
ここまでであれば、皆さんもなんとなく想像出来るサディストのイメージだと思いますが、ここから先が独裁者を理解するために役に立つ部分です。
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恐怖を利用して他人をコントロールする
サディスティック人格障害は恐怖を利用して他人を操作しようとします。
他人が苦痛や恐怖を感じていることが快感になり、それを繰り返していくことによって、効果的に相手に恐怖を与えたり恐怖によってコントロールする方法を見つけて行きます。
ですから、ヒトラーなど歴史上の独裁者も最初はそこまで残忍なことをしていません。
権力を握るに連れて、恐怖を効率的に与えることができるようになり、結果的に恐怖によって他人をコントロールすることができるようになります。
さらに、これが行き過ぎると暴力の行使を好むようになるというのもサディスティック人格障害の特徴です。
これを権力を持っている人が行うともっと大規模になり今回のような戦争を引き起こしたりします。
まさにプーチンという感じではないでしょうか。
暴力や戦争によって他人を支配している感覚を得ようとするのがサディスティック人格障害で、彼らはそこに快感を感じています。
過去の戦争についても今回のウクライナの戦争についても、そもそも何の目的があってそんなことをするのかということをいろいろと考えることはあると思いますが、ただ単に独裁者が快感を感じたいからしているという可能性もあります。
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皆さんの周りにはさすがにここまでの人はいないと思いますが、社会的な攻撃を好むという特徴があります。
わざと悪い噂を流して社会的な立場を貶めようとしたり、みんなが見ている公衆の面前でわざわざ恥をかかせるようなことに喜びを感じる人です。
このような社会的な攻撃もサディスティック人格障害の特徴です。
現代社会では暴力を行使すると犯罪になりますので、社会的に追い詰めたり恥をかかせることで欲求を満たしているサディスティック人格障害の人は結構いるような気がします。
この背景に隠れているのは「他人よりも自分が優れていること」の証明をしたいという欲求です。
他人が苦痛を感じているところを見ることによって、自分が恵まれているとか幸せだと感じることができるとんでもない人達です。
性的サディズム障害
ちなみに、精神科医の人たちが診断に使う精神病などを定義している本があり、このサディスティック人格障害は昔は記載されていましたが今はありません。
ですが、研究としては使いやすいカテゴリーなので現在でも使われています。
病気として記載されているのは「性的サディズム障害」というものです。
これは相手に苦痛を与えることで性的な快感を覚える障害です。
あまりにも度を越して日常生活や社会生活に支障をきたすレベルになると障害として扱われます。
レイプ犯がこの障害にかかっているのは10%未満ということですが、性的な目的での殺人犯はその37%から75%が性的サディズム障害だと言われています。
これはとても恐ろしいもので、有効な治療法がありません。
2.反社会性パーソナリティ障害(ASPD)
これはいわゆるサイコパスのことです。
アメリカの統計では全体人口の0.2%から3.3%が該当すると言われています。
これは日本でもそんなに変わらないと思いますので、思いのほか皆さんの周りにもいるかもしれません。
なぜこの反社会性パーソナリティ障害が起きるのかということについては、いろいろと調べられている段階で確定はできていませんが、どうやら感情を司っている遺伝子に変異があり、それに加えて幼少期の虐待などを経験すると反社会性パーソナリティ障害を発症するのではないかと言われています。
サイコパスは遺伝子的な要因と環境要因によって生まれるということです。
男性は女性に比べて6倍もこの反社会性パーソナリティ障害になる可能性が高いと言われています。
サイコパスについては映画の題材などでも扱われたりしますので、なんとなく皆さんもイメージを掴んでいると思いますが、サイコパス研究について学ぶのであればこちらの本がおすすめです。
サイコパスに学ぶ成功法則
サイコパスの特徴は色々とありますが、まず息を吸うかのように嘘をつきます。
基本的に罪悪感を感じませんので、本当に呼吸をしているかのように簡単に嘘をつきますし、嘘がバレても悪びれることもありません。
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しかもサイコパスは責任をとりません。
社会的にも金銭的にも無責任な行為をとることが多いです。
仕事をすぐに投げ出したり人との約束を守らなかったり、家庭があるのにギャンブルに全てのお金をつぎ込んだりするのもサイコパスの特徴です。
これが社会的なレベルになると、社会的にも経済的にも国が大きなダメージを受けてしまうようなことを平気でし始めます。
プーチンもロシアのためになってもいない無駄なことをしていると言われていますが、反社会性パーソナリティ障害が悪化すればそんな無駄なこともしてしまいます。
そして、すぐに怒って攻撃性も高いという特徴があります。
恋愛に関しては、相手を利用することを平気でしますし浮気の常習犯です。
罪悪感もないので後悔の念を感じることもありません。
誰でも悪いことをしたら相手に謝罪しなかったとしても、少なからず自分の中では悪かったと感じたり反省する事もあるはずですが、そのような感情も一切ありません。
さらに、これは独裁者に多い特徴ですが、被害者を責めることを正当化します。
自分が加害者なのに、平気で被害者のことを責めます。
恋愛であれば、自分が浮気したくせに「浮気をしたのはお前が努力を怠ったからだ」というようなことを平気で言って被害者を責めます。
ウクライナに攻め入ったプーチンが仮にこの反社会性パーソナリティ障害を患っていたとしたら、自分から攻撃を仕掛けておいて、そもそもウクライナが悪いと本気で言い始めるということになります。
どう考えても理屈が通らないことですが、それを平気で正当化するわけです。
普通の人であれば謝るか言い訳をすると思いますが、サイコパスは相手が悪いと被害者を責めることを正当化します。
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もちろん共感力も著しく低いので、だからこそ残念なことや残酷な決定をすることができます。
独裁者として権力を握るまでは、痛みを受け入れたり恐怖に苛まれたりしないのでどんどん上に登っていくことができます。
ところが、その権力を実際に握った後に国民のことを理解できるかというと、当然ですが共感力が低すぎるので理解できません。
さらに、権力を握れば握るほど人は共感力が落ちていきます。
他の人のことを理解することができなくなります。
多くの独裁者が周りの人を誰も信じることができなくなり疑心暗鬼になることが多いです。
これは別の人格障害を患っている可能性もありますが、この共感力が低下しているということもあります。
自信家で高慢で口がうまいという特徴もあります。
サイコパスは共感力は低いので人の気持ちはわかりませんが、トーク力だけは上手です。
この反社会性パーソナリティ障害に関しては、一時的に症状を抑える方法はありますが、長期的に効果のある治療法はないそうです。
もしプーチンが反社会性パーソナリティ障害だったとしたら、考えを改めることはないかもしれません。
続きの独裁者を作り出す人格障害については、今回のおすすめの動画で解説しています。
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参考:Coolidge, F., & Segal, D. (2009). Is Kim Jong‐il like Saddam Hussein and Adolf Hitler? A personality disorder evaluation Behavioral Sciences of Terrorism and Political Aggression, 1 (3), 195-202 DOI: 10.1080/19434470903017664 Coolidge, F., & Segal, D. (2007). Was Saddam Hussein Like Adolf Hitler? A Personality Disorder Investigation Military Psychology, 19 (4), 289-299 DOI: 10.1080/08.995600701548221 Frederick L. Coolidge, Felicia L. Davis, & Daniel L. Segal (2007). Understanding Madmen: A DSM-IV Assessment of Adolf Hitler Individual Differences Research, 5 (1), 30-43