しみついた恐怖を【想像だけでリセット】する方法

恐怖心をリセットするためのテクニックを紹介します。
いわゆるトラウマであったり、特定の誰かが強くて仕方がないというような、心に刻み込まれた恐怖心をリセットするための方法です。

染み付いた恐怖心を和らげる方法

コロラド大学が行った研究で、染み付いた恐怖心を乗り越えるためのイメージトレーニングについてのものがあります。
68人の男女を対象に、前に誰もが不快に感じるような音を聴かせると同時に、電気ショックを与えるという実験を行っています。これを何回か続けていると、この不快な音と電気ショックが脳の中で結びついて、同じような音が少しするだけで汗が滲み出たり、ストレス反応が起きます。
この不快音と痛みが結びつけて恐怖心を植え付けた上で参加者を3つのグループに分けました。

想像グループ：嫌な音を想像してもらう

現実グループ：嫌な音を聞いてもらうけれど電気ショックを与えない

安静グループ：自然音など癒される音を聞いてもらう

この3つのグループに分けて、どのグループが最も恐怖心が和らいだのかという事を調べました。恐怖心の計測としては、主観的な計測だけではなく、体の汗の反応や脳波計の変化まで調べています。

普通に考えると、自然音を聞いているグループが最も癒されそうな気がしますが、実際は、嫌な音を想像したグループと嫌な音を聞いたグループが、圧倒的に恐怖心から立ち直っていました。
恐怖の対象から離れた方がメンタルが落ち着きそうな気がしますが、その恐怖の対象に触れたり想像するグループの方が、克服できたということです。

消去学習

これは心理学で有名なものですが、消去学習と言われます。
昔から不安や恐怖に対するセラピーとしてもよく使われている方法ですが、今回の実験で言うと、不快な音と痛みが結びついているから恐怖心にまつわる反応が起きるわけです。実際に怖いものが電気ショックの痛みだとすれば、そのスイッチになる不快音はそのトリガーになります。その不快音を聞かせても実際の害になる痛みが起きないということを何回も体験することによって、嫌な結果に毎回結びつくわけではないということを脳に教え込むというのが消去学習というものです。

例えば、自分の家が火事になってトラウマを抱えている人がいたとして、何かが焦げる匂いを嗅いだり火の燃える音を聞いただけでパニックになるというような場合に、これをどうやって消去学習で消すかというと、焦げる匂いや燃える音を少しずつ体験させて徐々にその刺激に慣れさせます。そのトリガーがあったとしても実際には何も起きないということを脳に教え込むことで、何かをきっかけにパニックに陥ったりすることがなくなります。

対人恐怖でも、昔大勢の人の前で恥をかいたという経験があると、人前に出ただけで汗が出たり動悸が激しくなったりすることがあると思います。このような人たちに対しても治療するとしたら、徐々に慣れる体験をしたりそれを想像することで、実際にはそんなことは起きないということを教えていくことで治療します。

想像だけでも使える

とはいえ、そのような人に100人とか200人を集めてその前に出てもらうとなると治療自体も大変ですし本人にも酷です。怖い上司のせいでトラウマになっている人がいたとして、治療をしたいからと、その上司に協力してもらうというのも無理な話です。
そのような状況を繰り返し作ることができないものに対しては、この消去学習というものは使えないものでした。

今回の研究の興味深いところは、不快な音を聞かせた場合も不快な音を想像した場合も同じような効果が出たというところです。
僕たちが恐怖を乗り越えようと思えば、そのトリガーになるものを探して、そのトリガーだけを想像すればいいということです。想像だけなので実際には何も起きないということを脳に感じさせるだけで脳は慣れていき、想像だけで恐怖を乗り越えることができるということです。

実際に現実の体験をしなくても、実際の体験のきっかけになるようなことを想像するだけで、僕たちの内面的な反応は変わってくるということです。イメージトレーニングとしてこの消去学習は有効になるのではないでしょうか。

もちろん想像するだけでパニックになってしまうという人であれば、緩和させる方法も考えた方がいいと思います。例えば、自分に向かって怒っている上司を想像しただけでパニックになりそうな人であれば、その上司が自分ではなく他人に対して怒っているところを想像するというように、自分と距離を作るようにしてください。距離を作った上で徐々に練習することによって、この消去学習を実践していくこともできます。
是非試してみてください。

乗り越えるよりも撃退すべき上司がいる人のためのおすすめ動画
脅して操る【マニュピレーター上司】を撃退するには
▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1557588303

今回のおすすめ本