記憶に残りやすい勉強法の中でも効率的な方法を紹介します。
まず、僕らの「記憶」というものについて考えないといけませんが、記憶は長期記憶と短期記憶に分かれます。
例えば、忘れる前にすぐ復習しましょうとか、見直しましょうとか、学校で教わったかと思いますが、忘れてください。学習効率が非常に低いということがわかっています。
あのような学習方法を集中学習といいますが、同じタイミングに何度も何度も繰り返すことによって学習するという方法です。
この「繰り返し」が、実は脳にとっては意味が無いんです。
時間をおいて復習するのはいいですが、何回も何回も繰り返すことは効果がないんです。
人間は物事を長期記憶に入れる作業を行っているわけですが、長期記憶の記憶容量は無限大と言われています。
人間はモノを覚えすぎたからといって、覚えられなくなることはありません。
長期記憶の量は知識の量に反映しています。つまり新しい知識を覚えるたびに記憶容量が増えるんです。
知識を入れれば入れるほど記憶容量が増えていきます。
では、人間は無限に覚えられるのになんで忘れちゃったりするんだろうとなりますよね。
人間がモノを忘れるときは、忘れているのではなく思い出せなくなっているんです。
記憶の手がかりのキューが弱かったりとか関連性が弱くて思い出せなくなるんです。
何回も何回も繰り返す学習をしていると、短期記憶をひたすら引っ張り出して覚え直すことになるんですよ。
長期記憶になる前に、ただ繰り返しているといつになっても長期記憶にならないんです。
では、どうすればいいのか。
一回覚えて、しばらくすると長期記憶になっていきますから、
手がかりが失われたかなどうかなというところで復習するのがベストなんです。
つまり、僕らがやるべきことは、
人間の頭に長期記憶になりかけた知識を手がかりをもとに思い出して復習することなんです。
「思い出すことが勉強なんです!」
「勉強とは思い出す作業なんです!」
思い出す作業ってしんどくて苦労しますよね。
人間は、苦労する時に新しい脳細胞が生まれつながりが生まれ、長期記憶が生まれるんです。
つまり、困難な学習法のほうが効果は高いんです。
苦労して覚えていくことによって「メンタルモデル」が生まれるわけです。
例えば、自転車に乗る時にひとつひとつ方法を考えずに乗ることができますよね。
こういった記憶の集合体になって自動的に判断や行動できるような記憶をメンタルモデルと呼びます。
覚えたばかりのことをすぐ復習するのは楽ですよね。
短期的にみたら効果ありそうなんですが、苦労していないからメンタルモデルにならないんです。
忘れかけた頃に学習することによってメンタルモデル化されるわけなんですが、
忘れかけていた記憶を思い出すことによって再統合が起きて、今まで経験してきた別の経験や知識と結びつくわけです。
だから、関係性を持って思い出しやすくなるんです。
何回も思い出して再統合によって過去の経験と結びつけていくと、関連性が深まって記憶力が良くなっていきます。
こういった困難を心理学者は「望ましい困難」と呼ぶんです。
苦労するっていうのは、
しんどい勉強法とか難しい本を読まなくちゃいけないって言っているわけではないんです。
たとえば、僕は非常に字が汚いんです。
自分の字を読むときも文脈から想像しながら読むぐらいなんです。
字が汚い人って頭がいいっていう通説あるじゃないですか。
あれ、実は間違っていなくて、字がぼやけている本とぼやけていない本を見せて、
記憶への残り方を調べる実験があるんですけれど、字がぼやけている方が頭に残りやすいっていうことがわかっているんです。
つまり、読むのに苦労するから推察しながら読むので「望ましい困難」になっているんです。
是非参考にしてみてください。
▼参考文献