この知識はこんな方におすすめ
- 効率よく筋肉をつけたい
- 筋トレを頑張っている
筋肉痛無意味説
今回はまた物議を醸し出しそうな内容ではありますが、筋肉痛無意味説について紹介させてもらいます。
どういう意味で無意味だということなのかということまで紹介させてもらいます。
皆さんも筋トレをしたり運動をした時に、筋肉痛になって、痛いけれどこの筋肉痛のおかげで筋肉がついているに違いないと考えることはあると思います。
これについて科学的な根拠があるのだろうかということを考えたことはありますか?
よく言われるのは、筋肉を大きくするためには、筋肉痛としての筋肉へのダメージが必要だということが言われます。
例えば、筋繊維が切れたり筋肉の細胞の炎症が筋肉を鍛えることによって起こります。
そうすると、体はそれにより筋肉が受けたダメージを修復しようとして、その際に筋繊維が太くなったり筋肉が大きくなっていくという、いわゆる超回復と呼ばれる理論があります。
ですから、筋トレをガンガンしている人などは、どんどん筋トレをして筋肉痛を起こさないと筋肉が成長していかないということを言う人もいるわけです。
ところが、最近の研究によると、筋肉痛と筋肉の発達とは別に関係がないのではないかということを示している研究も結構あります。
筋肉の成長のメカニズムとは?
実際に、どのようにすれば筋肉が成長するのかということについては有名なブラッド・ショーンフェルド先生という方がいて、この方は筋トレや筋肉に関する研究や面白い本をいくつか出されています。
この方が2010年にレビュー論文として、筋肉を育てるために必要なものは何なのかということについて調べてくれています。
この中でも筋肉のダメージについての話も触れられていて、3つのポイントが示されています。
1. メカニカルテンション
自分に合った重さのウェイトを上げ下げすることによって、程よく筋肉を刺激すると、それに対して、脳が筋肉をもっと増やす必要があると体に命令を送ってくれるというものです。
これは筋肉痛ではなく、筋肉を刺激したことによって起きるメカニカルテンションという要素です。
2. メタボリックストレス
体をたくさん動かすことによって、乳酸やクレアチニンなどの疲労物質が体内に増えます。
そうすると、体を回復させるために人間の体は成長ホルモンを出すので、そのおかげで筋肉が増えるのではないかとされています。
3. 筋肉ダメージ
メカニカルテンションとメタボリックストレスが結構有力ではありますが、3つ目が、筋肉ダメージです。
一応ここでは筋肉ダメージもあるとされています。
筋肉に傷がつくことによって筋肉痛が起こり、その筋肉が修復される際に筋肉が増えていくというものです。
この3つの要素が、筋肉を育てるために大切なポイントだと、ブラッド・ショーンフェルド先生も言われているわけです。
実際には研究も少なく筋肉ダメージの効果は確認されていない
そうなると、やはり筋肉痛には意味があるのではないかと考える人もいると思いますが、この筋肉痛により筋肉が発達するという理論はどこから生まれてきたのかというと、実は、動物実験と男性ホルモンであるテストステロンを注射した高齢者を対象にした筋トレの実験によるものです。
つまり、健康的で若い成人男性や成人女性で行った実験は実はないということです。
動物実験では、筋肉のダメージにより筋肉が増えるということはわかっていて、テストステロンを注射した高齢者を対象にした場合でも筋肉が増えるということは分かっています。
ですが、若い人に対してはどうなのかということは分かっていないわけです。
メカニカルテンションとメタボリックストレスに比べると、筋肉痛というダメージによって筋肉が増えるということは、理論としてもわかりやすいですし覚えやすいものです。
ですから、それにより意外と広まってはいますが、実際にこの説については若い人を対象にした研究がそれほど行われているわけでもないそうです。
これについて2012年に細かく調べてくれた研究があり、この研究を見てみると切ない結果が出ています。
動物実験や高齢者を対象にしたものではなく、一般的な人に対して、この筋肉ダメージ仮説というものが実際にはどうなのかということを調べたところ、筋肉のダメージが筋肉の肥大をもたらす理論には科学的な証拠がまだ見当たらないとされています。
筋肉痛を感じる必要はない!
つまり、筋肉痛により僕たちは筋肉が育つと信じていたわけですが、実際には、そこには科学的な証拠はまだなく、今のところあまり筋肉ダメージのおかげで筋肉が増えているわけではないということです。
逆に言うと、筋肉痛になる程ではなくても、正しい重さでちゃんと筋トレをして筋肉を刺激することによるメカニカルテンションと、適度な疲労物質が出ることによって成長ホルモンが分泌されるメタボリックストレスの2つの方がおそらく重要だろうと考えられるので、別にわざわざ筋肉痛になる必要はないのではないかということになります。
筋肉痛になるほどのトレーニングを出来なかったからといって、自分を責める人もいるかもしれませんが、それはあまり関係がないということです。
そんなある意味朗報になります。
ちなみに、健康的な成人を対象にしたデータもいくつか出ていて紹介しておくと、例えば、2011年の実験では、半分のグループには筋肉ダメージが増えるエクササイズを行ってもらい、残りの半分のグループには筋肉ダメージがそれほど増えないようなエクササイズを行ってもらっています。
筋肉ダメージが増えるグループとそんなに増えないグループで、筋肉量の発達を比較したところ、それほど差を確認することができなかったという結論が出ています。
健康な高齢者を対象にした2007年の実験でも、やはり、筋肉ダメージが大きくでも、それにより筋肉が増えるという現象は確認できなかったとされています。
さらに、筋トレの初心者を対象にした2016年の実験を見てみると、トレーニングを始めた3週間の間は、筋肉ダメージの大きい方がタンパク質合成の量が増えていて、筋肉量は増えていました。
つまり、初心者の最初の3週間に関しては、筋肉痛があった方がタンパク質の合成は増えていたということです。
ところが、最初の3週間の筋肉痛になる時期を過ぎてからは、筋肉ダメージと筋肉の量には全く関係がありませんでした。
ですから、筋トレ初心者の場合には多少増えるかもしれないけれど、あまり関係はないのかもと考えられます。
筋肉ダメージにより筋肉の量が増えるのかというと、理論上は増えそうですが、実際に数値として測ってみると大して影響はないのではないかということが、現段階で示されていることです。
もちろん筋肉痛が筋肉を増やすということは理論上は成り立ちます。
ただ、それが僕たちが体感できるほどの筋肉を育てる効果はおそらくないのではないかということです。
ですから、別に筋肉痛にまでならなくても、自分に合ったウェイトの重さや運動の強度をちゃんと計算して続ければ、確実に筋肉は増えていきますので、筋肉痛を最近感じないからトレーニングが足りていないのではないかと考える必要はないということです。
ちなみに、筋肉痛は普段あまり使っていない筋肉を使うと筋肉痛になるとも言われていますので、筋肉痛を感じているというのは、鍛えているというよりは普段使っていない筋肉を使ったということだと考えた方がいいのかもしれません。
科学は時折日常や常識とのギャップを見せてくれる!
科学の面白いところがまさにこのようなところで、みんなが信じていたことが実は間違っていたとか、みんなが効果がないと思っていたことが実は効果があったというような、日常の常識とのギャップが見えるというところが科学の面白いところです。
もちろんこのようなことはめったに見つかることではありません。
大体の場合は、人間の常識や常識的な感覚を証明してくれるだけですが、時々このような裏切りをしてくれます。
僕はこの裏切りをたくさん集めるように意識しています。
なぜかと言うと、皆が間違ったことを信じている時に、自分が正しいことをすることができれば、大きく差をつけることも可能になります。
筋トレだけではなく、みんながなぜかやらない成功するために正しい方法は何なのかということについて解説した動画を今回のおすすめの動画として紹介しておきます。
「常識破りの成功法則」では、多くの人は成功したいと思うわけですが、どのような能力を鍛えれば社会的経済的に成功することができるのかということをほとんど知りません。
では、何が成功につながるのかということを調べたさまざまな研究をまとめたシリーズの中の動画のひとつです。
例えば、成功者の体験を本などで読んで、自分も同じようにして成功したいと考えたり、先人や成功者の体験から学ぶことが大切だとよく言われます。
そして、自分の失敗からは次はそんな失敗をしないように自分の経験を生かし学ぶことが大切だともよく言われます。
ところが実際にはどちらも効率が悪いということが分かっています。
成功者の成功体験はあまり役に立たないし、人間の人生は限られたものなので、自分が生きている間に失敗できる回数も限られている上に、立ち直るまでに時間がかかってしまうし経済的な負担もあるので、他人の成功と失敗、自分の成功と失敗のどれをどのようなバランスで意識すると、最も最短で効率よく失敗を避けて成功することができるのかということが分かっています。
そんな常識にとらわれない成功するために必要な内容を解説した動画になっています。
世の中を見渡した時に実際に成功している人はごくわずかな人です。
でも、世の中で成功するために必要だとされているような常識はみんな知っています。
みんなが正しいことを知っているはずなのに、成功している人はごくわずかだというのは、その常識が間違っているということです。
もし常識が正しいのであればみんな成功することができるはずです。
みんなが間違った常識を信じてそれをいつまでも大切にしているということに気づいて、常識とは違う方法を自分で気付いたり試した人が成功しているわけです。
ぜひそんな常識破りの成功法則をチェックしてみてください。
今回のおすすめの本も、そんな一般的な常識を覆すような興味深い本を紹介しておきます。
1冊目の本は『残酷すぎる成功法則』で、これは僕もとても好きな本の1冊ですが、一般的にみんなが信じている成功法則がいかに間違っているのかということを分かりやすく教えてくれています。
2冊目の本は『SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる』で、僕たちはいろいろなことを同時にしなくてはいけないとか、たくさんやることがあると同時進行で進めないと終わらないと考えてしまいがちですが、それも実際には間違っていて、ひとつずつ集中して終わらせた方が圧倒的に早く終わります。
同時にいろいろな事をしなくてはいけないという人が、ひとつずつのことに集中して短時間で高い生産性を出すためにはどうすればいいのかということを解説してくれている本になります。
そして、もうひとつよく常識として間違われているのが、「計画」です。
いろいろと計画を立てたり目標を立てる人はいますが、今年の年始に立てた目標もすでに挫折したとか忘れてしまっている人も少なくないのではないでしょうか。
このような目標や計画の立て方も、その立て方がみんな間違っています。計画の正しい立て方を誰も教えてくれないからです。
ですので、3冊目の本としては、『倒れない計画術 まずは挫折・失敗・サボりを計画せよ!』を紹介しておきます。
挫折と失敗とサボりをあらかじめ計画することが達成率を左右します。
ぜひチェックしてみてください。
リサーチ協力の鈴木祐さんの論文解説チャンネルもオススメです
Supported by Yu Suzuki https://ch.nicovideo.jp/paleo
本内容は、上記の参考資料および、動画を元に考察したもので、あくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20847704
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22344059
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21270317
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18171497
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27219125