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早起きすると損する説について

早起きすると損する説について

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この知識はこんな方におすすめ

  • 早起きが苦手
  • 効率よく力を発揮したい
  • 時間と能力を大切にしたい

年齢により最適な生活リズムは違うのでは

僕も割と朝早く起きるのが苦手なタイプです。何か予定があれば起きることは出来るけれど、そうでなければどうしても苦手という人も多いのではないでしょうか。
毎日会社や学校に行くから朝起きることはできるけれど、その予定がなかったらなかなか起きることができないのではないでしょうか。
一方で、年配の方々はどちらかと言うと早起きのイメージがあるのではないでしょうか。
ですから、人間の生活リズムというものは、年齢によって割と変わるのではないかと考えられます。赤ちゃんであれば2時間に一回とか細かく分けて寝たりもします。
このような点を考えた時に、本当に早起きというものは得なのかということを考察してみたいと思います。

今回参照している研究によると、高齢者は午前中の方が頭の回転が速く、若者は午後の方が頭の回転が速いということです。
ということは、若い人に無理に早起きさせて、朝から一生懸命勉強をさせたり難しい作業をさせるというのは果たして効率という点ではどうなのだろうかとなります。
学校などで考えると、午前中は体を動かすようなことをして、頭を働かせるようなことは午後からした方が良いのではないかという提案も考えることができるかもしれません。

若者:午後 / 高齢者:午前

よくある経営者の書かれたビジネス書などでは、社長が社員の誰よりも早く出社して掃除をしていたとか、それが成功の秘訣だったというような早起きや誰よりも朝早く出社するのが大事だというようなことを主張している本もあります。
それがどうなのかということを調べてくれたのが今回のトロント大学の研究です。
その研究の結果、若い人は午後の方が脳の機能が高くなるということが分かっています。ですから、この研究に限ったことではありますが、若い人は午前中は体を動かしたりあまり頭を使わない作業などに時間を使った方がいいのではないかということが考えられるわけです。

この研究は対象人数は少ないですが32人の男女を対象に、そのうちの半数が60歳から82歳の高齢者になり、残りが19歳から30歳の若者で実験を行っています。
両方のグループに対して脳の機能を測るテストを行いますが、2つのグループとも午前と午後の両方にテストを行いそれらの違いをチェックしました。
ちなみに、この脳の機能を測るテストとしては、できるだけたくさんのことを短時間に記憶してもらうという記憶力のテストや集中力をどれぐらい維持することができるのかというテスト、刺激に対する反応スピードを測るテストなどを行っています。

その結果、高齢者グループの人達は午前中の方が成績が良く、若者グループの人達は午後の方が成績が良かったということです。
このような結果が出た原因としては、高齢者は午後の方が脳のデフォルトモードネットワークが活性化するからです。これによりぼーっとしやすくなったり集中力が途切れやすくなったりします。
このように考えると、若い人と歳をとった人とでは一番集中できる時間帯も変わってくるわけですから、一概に若者に対して早起きするべきだというのは間違っているのかもしれません。

自分なりの最適な時間帯を知る

研究チームのコメントとしては、やはり1日のうちでどのタイミングが最も力を発揮することができるのかということは、むしろ、若者よりも高齢者の方が大事なのではないかということを言われています。
歳を取ってくると、午後よりも午前中の方が力を発揮することができる時間帯になってくるので、高齢者の人は午前中の時間を大事にするべきだということになります。
午後よりも午前中の方が注意力も続きやすくなり、誘惑などにも負けづらくなるということが分かっています。

午前中に高齢者の認知機能が向上するのはなぜかというと、脳の構造が原因だということです。注意のコントロールに関わるエリアである脳の背外側前頭前野や上頭頂小葉の活性と相関が確認されているそうです。これらの活性度が高齢者は午前中の方が高くなっていました。

このような傾向は先行研究でも確認されていたそうで、単純に早起きがいいとか悪いということではなく、自分なりの最も集中できたり脳が最も働いてくれる時間帯を見つけることが大事だということです。
いわゆる自分の体内時計のリズムを整えて、その上でどの時間帯にどのようなことをするべきなのかということを自分なりに決めていくのが大事だということです。
もちろん、みんなとスケジュールを合わせるということも大事だと思います。ですが、自分のリズムを把握しておいて、調整できる範囲で調整していくのがいいのではないでしょうか。

ちなみにどれくらいの違いがあるのかというと、高齢者の脳に関しては、午後の高齢者の脳は若者に比べて注意コントロール能力が5.4%しか働いていないということです。
一方午前中は、若者に比べて41.4%程度働いているということです。いずれにせよ脳機能というものは歳をとるにつれて徐々に下がってしまうものですから、それ自体はどうしようもありませんが、午前と午後で考えると相当な違いが確認されているわけです。

もちろん人による違いもありますが、時間帯により脳の認知機能は変わるので、自分なりのリズムを見つけるように意識してみるのも良いのではないでしょうか。
ただし、この研究は MRI を使って行なっていて、体内時計がどの程度影響しているのかということに関しては特に議論されていませんので、その辺りも自分なりのタイミングを知ることが大事だとは思います。
どちらかと言うと、早起きを意識するというよりは睡眠の質を上げることを考えた方が、おそらく得なのではないでしょうか。

起きたい時間にアラームを使うことなく起きることができるようになると、集中力が上がります。

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本内容は、以下の参考文献を元にした、DaiGoの独断と偏見を含む考察により、科学の面白さを伝えるエンターテイメントです。そのため、これらは、あくまでも一説であり、その真偽を確定するものではありません。
より正確な情報が必要な方は参考文献・関連研究をあたるか、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
訂正や追加情報があれば、随時修正や追記をします。
参考文献:https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fa0037243

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