バカとハサミは使いようというように、他人に影響されやすい馬鹿は何とかなりますが、頑固なバカには困るものです。
自分は全て知っている、自分は正しいと思い込んでいる頑固な馬鹿は手に負えません。
皆さんの周りにもいませんか?
そんな人たちをどのようにしてうまくコントロールすればいいのかということを紹介させてもらいます。
ダニング・クルーガー効果
ダニング・クルーガー効果というものがあります。これは、簡単に言うとバカな人ほど自分を頭がいいと思っている現象のことです。知能が低い人であればあるほど、自分は平均より上にいるとか自分の能力が高いと思い込んでしまいます。頭のいい人ほど謙虚で、頭の悪い人ほど自分は頭が良くて何でも知っていると思い込んでしまう認知バイアスです。
『知ってるつもり――無知の科学』という、なぜ、人が知っているつもりになってしまうのかということを解明してくれているとても面白い本があり、その本のフィリップ ファーンバックさんの論文を元に紹介させてもらいます。
遺伝子組み換え食品に反対している人たちはどんな人たちなのかということを調べた研究です。
実際には、遺伝子組み換えは安全性が確立されていて、人を対象にしたデータでは遺伝子組み換え食品の安全性についてはほぼ確立されている状況です。
遺伝子組み換えがいいか悪いかの議論は置いておいて、遺伝子組み換えにより虫に強くなるということもあるので、農薬の量を減らすことができて、肥料過剰に与える必要もなくなり環境にもいいのは確かです。総合的に見た場合には、遺伝子組み換え食品はいいのではないかと言われています。
そういうこともあり、今更遺伝子組み換えについて議論することは、科学的にはナンセンスだと言われていますが、それでも根強く遺伝子組み換えを批判する人たちがいるわけです。
このような人たちがなぜいつまでも拘って批判し続けるのかということを調べたものです。
つまり、事実がすでに塗り変わっていて結果が出ているにもかかわらず、それを否定し続けて、自分の考えが正しいと言い続ける頑固で無知な人たちは、どのような人なのかということを調べてくれたものです。
頑固なバカの正体とは?!
2500人を超える男女に遺伝子組み換え食品についてアンケートを行っています。それと合わせて、一般的な基礎的科学知識を問うテストを行いました。
これにより、正しく科学知識を持っている人が批判しているのか、それとも、科学知識はないのに自分の中の思い込みで断言しているのかということを調べました。
その結果、遺伝子組み換えに対する反対レベルが高い人ほど、科学の知識がなかったということです。反対している人ほど客観的に見た科学の知識が欠けていたわけです。
ところが、なぜか自分の知識は正しく科学に詳しいと言い始めてしまいました。
まさに、ダニング・クルーガー効果が起きていました。
頑固なバカが見せる行動2選
遺伝子組み換えに対して、根拠のない反対をしている人達には、ふたつの傾向が見られました。
1. 自分から正しい情報を積極的に探さないように行動する
正しい情報があるかもしれないということが分かっているのに、それをあえて無視しようとします。自分にとって都合の悪い情報は、それが事実であっても全て無視しようとしてしまいます。
2. 正しい情報を伝えると否定的な態度が更に強くなる
このような人たちに正しい情報を伝えると、根拠のない否定をしてしまい、最後には開き直るということまで起きてしまいます。
正しい情報を出せば出すほど、余計に頑固になってしまいます。
これらの傾向は、文化の差に限らず起きているということも分かっています。ただし、話題によって違うということも分かっています。食事やスポーツであれば反論しないような人も、最新のテクノロジーの分野などでは反論しやすいということです。
このような人たちは、自分はそのことについて既に知っていると考えるので、新しいことを学ばなくなってしまいます。これが頑固なバカの正体です。
自分が知っていると思っているからこそ、それを学ばない。学ばないからこそ、既に変わっていたり覆って便利になっていても、それを認めることができないわけです。
頑固なバカへの対処法
では、このような人たちにどう対処すればいいのでしょうか。
正しい情報を出せば出すほど頑固になるわけですから、彼らの自分は既に知っているから学ばないという姿勢を打ち砕く必要があります。
あくまで、無視したりスルーするのが一番ですが、このような人たちとコミュニケーションをとらないといけない場合にどうすればいいのかというのが今回の趣旨です。
正しいことを伝えるのではなく、「自分は意外と知識がないかもしれない。この人は本当に色々なことを勉強していて知っているのだな。」と思い込ませておいてから、話を聞きたいと感じさせるしかありません。
おだてれば、余計に自分は正しいと調子に乗りますし、否定すれば、さらに頑固になってしまいます。
皆さん自身が頭がいいと思わせるわけです。そうして初めて相手は話を聞くようになります。
仮に、遺伝子組み換えについて正しい情報を知ってほしいのであれば、遺伝子組み換えについてはひとまず触れないようにして、例えば、食品の知識や栄養の知識について色々と話します。それにより、色々なことを知っていると思ってくれば、徐々に心を開いてくれます。それから初めて、遺伝子組み換えについての正しい情報を伝えると、まともに聞いてくれるようになります。
頑固なバカに対しては、自分の方が知識を持っていると思わせましょう。
参考文献
https://www.nature.com/articles/s41562-018-0520-3