いわゆる現実逃避が加速してしまい、なかなか人生が進まなくなってしまうというドラマ欲求があります。
ドラマフォーカスとは
ドラマフォーカスというのは、ドラマ欲求を持っている人の人付き合いのことですが、ほぼ同じ意味で使われています。
人生を現実よりもドラマティックなものにしたいという欲求です。例えば起業するのであれば、現実的な企業のためのメソッドを考えるわけではなく、非現実的な派手なストーリーを求めてしまいます。そうなると現実味がなくなってしまうので、計画が曖昧になってしまったりします。恋愛においてだと、現実にはありえないレベルの白馬の王子様を待っているような女性も同じかと思います。
この運命を求める欲求が行き過ぎると、その延長線上には劇場型パーソナリティ障害というものになります。そこまで深刻でなくても、ドラマ欲求が強すぎると、家族や友人、会社の同僚などとトラブルが起こりやすくなってしまいます。
現実逃避につながってしまう
要するに自分の生活をドラマのように考えるので、現実的に物事をコツコツと進めたりすることもなく、人との関係も現実的に捉えるのではなく、ありえない非現実的なストーリーに頼って生きてしまいます。自分のことを物語の中のヒーローやヒロインのように考えて、現実から逃げてしまうわけです。
このような人は、周囲の人と思いっきりぶつかってしまい揉め事を起こしてしまったり、コミットメントがやたら激しかったりします。
4つのパートナーとの付き合い方
このドラマフォーカスの危険性については、2015年にイリノイ大学が研究を行ってくれています。ドラマフォーカスは人間関係においても危険ですが、パートナーとの関係においても危険です。特にパートナーとの付き合い方においては4種類の使い方がありますので、皆さんがどのタイプに当てはまるか考えていただけたらと思います。
この研究では376組のカップルを集めて全員の関連性を調べています。カップルの付き合い方を四つのカテゴリーに分類しました。
1. パートナーフォーカス
お互いに依存しあう付き合い方です。全体の1/3程度がこれに当てはまりました。
2. コンフリティング
衝突を繰り返しては元に戻ることを繰り返す付き合い方です。全体のおよそ12%がこれに当てはまりました。
3. ソーシャルインボルブ
最も良い関係ということができますが、互いの人間関係を共有する付き合い方です。結婚生活でも、お互いの友達をシェアすると関係はうまくいきやすく離婚率も下がるということが分かっています。全体のおよそ19%がこれに当てはまりました。
4. ドラマフォーカス
激しい喧嘩と強力なコミットメントを繰り返す付き合い方です。全体のおよそ1/3がこれに当てはまりました。激しい喧嘩をしては、もう二度とこんなことはしないというような大きな約束をしたり、お互いの人生に影響を与えるようなことをします。まさしくドラマのような苦しみを乗り越えた運命の関係にしたいというタイプです。
恋愛以外にも当てはまる
この研究ではカップルを想定していますが、友達や同僚と付き合う場合にも、この四つのパターンに分類することができます。
恋愛に限らず皆さんが他人との付き合いにおいて、現実逃避をしていないかということを見るために参考になる考え方です。
例えば、この四つのパターンを人間関係に置き換えて考えるのであれば、
1. パートナーフォーカスは、お互いに依存しあうといえば、いい面もあるような気がしますが、どちらかが欠けると仕事が成り立たなくなってしまったり、何かが休むと仕事が進まなくなるという問題があります。
2. コンフリティングは、激しいディスカッションをしては元に戻るという組織だと考えると、いいベンチャー企業のような感じもしますが、結構しんどいものかと思います。
3. ソーシャルインボルブは、お互いの人脈を紹介しあったり、他人を繋げたり人間関係を共有し合う関係です。
4. ドラマフォーカスは、どう考えても非現実的な成功を手にしようと空想ばかりが広がっている状況です。
恋愛でも人間関係でも危険なのは
恋愛関係でも人間関係でも同様ですが、この中で飛び抜けてカップルであれば別れる可能性が高く、人間関係であればその関係が終わる可能性が高いタイプがあります。
それがドラマフォーカスです。
この研究では恋愛のデータしかありませんが、その確率は他の付き合い方に比べて、なんと2倍も高いということが分かっています。
感情の波がとても大きいので、ちょっと悲しいことがあっただけでも、悲劇の主人公のように号泣してしまいます。ちょっとしたことでも激高したりしますし、お祝い事をする時も、やりすぎなぐらいのことをしては、その見返りのコミットメントを求めたりします。
こうなると恋愛でも人間関係でもその関係を消耗させてしまいます。要するにドラマフォーカスは重い関係になってしまいます。
まずは気づくこと
このドラマフォーカスにはもちろん対策はありますが、気づくことが難しいものです。このような付き合い方をする人は、人生をドラマのようにしたいという欲求がかなり強いので、現実の周りの人達に迷惑をかけてはトラブルが起きやすくなります。そうなると、そのトラブルに対してもドラマのように考えて、そこから大どんでん返しの人生が起きると考えたり、現実逃避が加速します。
つまり、このタイプの人達は、ドラマフォーカスのせいで周りから人がいなくなってしまいます。人がいなくなると、もっと大きなドラマを描くようになってしまいます。その結果どんどんネガティブなスパイラルに陥ってしまいます。
この人たちは、現実を変えてくれるのはドラマしかないと思っています。ドラマを待ち続けても来ないので、もっと大きなドラマを待つようになってしまいます。ですから、気づけないわけです。
まずは自分自身がドラマ要求にかかってしまっているのか、その度合いがどれくらいなのかということを知ることが大事です。
その程度がもし高かったのであれば、認知行動療法などを使って認知の歪みを治していく必要があります。
ドラマ欲求の診断テストなど続きは