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【解説】槇原敬之さんが抜け出せなかった本当の理由【中毒の科学】

この知識はこんな方におすすめ

  • やめるべきなのにやめられない
  • 今の自分が嫌い

自分にとって良くない行為とわかっているのにやめられないのはなぜ?!

久々の時事ネタですが、槇原敬之さんが薬物でまた捕まったというニュースが流れていました。
よく芸能人は薬物にハマりやすいということが言われますが、これは半分正しくて半分間違っていると言えます。芸能人の方がニュースになるから報道されるだけということもあります。

なぜ人間はこのような薬物ややばいとわかっているものにハマってしまうのかということを今回は解説させてもらいたいと思います。これ自体は皆さんにも当てはまる可能性もあるものですから気を付けていただけたらと思います。
芸能人の場合には、お金も持っているでしょうしやばい人たちが寄ってくる生活スタイルを持っています。夜まで仕事がありいつ終わるかも分からなく、それからご飯を食べに行ったり飲みに行ったりするので、いわゆる夜の街に出ることが増えます。そのようなところも原因にはなるとは思いますが、そもそも心理学的に見た時にこのような薬物に限らず、例えば、アルコール依存とか依存性や中毒性のあるもの、あるいは、食べ過ぎもある意味中毒と言えますので、このような人間の体にとって悪いとわかっているのに止めることができない中毒症状にはどのような人がはハマってしまうのかということは調べてくれた研究は色々とあります。

大前提として言えるのは、鬱っぽい人や不安になりやすい人は、社会的にも自分の身にも良くない行動を取りやすいということが様々な研究により言われています。
つまり、不安を抱えやすい人や鬱っぽい人の方が現実逃避の方向に進んでしまい、良くない薬物などに手を出してしまうと、当然それは他の人に言えないし言わないので、自分は良くないことをしていると考えて自分を責めるようになります。そうすると、さらに不安を感じるようになり、その不安から逃れるためにまたその良くないものに手を伸ばしてしまうということになります。
だからといって、そのような薬物に手を出した芸能人の人達を擁護するわけではありませんが、そもそもわざわざメディアで大々的に報道する必要もないと思います。このようなことをすると余計に再犯リスクが高くなってしまいます。
つまり、自分はそんな人間なんだとレッテルを貼られてしまいますので、それで先々一生懸命治療したりしても、いつまでもそのレッテルで見る人や中傷する人が出てきます。それによりまた不安が募ってしまい、同じ過ちを繰り返してしまう可能性が増えてしまいます。

今の自分をありのままに受け入れることができていますか?

不安やうつの危険性を紹介しましたが、これよりももっと悪影響が大きいものがあります。これは槇原敬之さんが特にハマりやすかった理由の一つでもあると思います。
それは自尊心の低さです。
これは今の自分が今のままでいいと満足して自分を受け入れることができる能力のことです。心理学でいうところの自尊心というものは、いわゆる一般的にプライドのように扱われる自尊心とは少し違います。
この自尊心が低いというのは、このような良くない行動を引き起こしてしまう大きな原因の一つだとされています。

マンチェスター大学などの行った研究で、707人の学生を対象に、いわゆる自傷行為やアルコールや薬物などの経験を調べました。この参加者のうち119人はいわゆるセクシャルマイノリティであるLGBTQでした。
全員の不安傾向やパーソナリティなども色々とチェックしたところ、このLGBTQの集団の中には35%の人が何かしらの自分にとって不利益な行動をとったことがあると答えたことに対して、ヘテロセクシャルの人たちは14%の人達だけでした。
LGBTQの人たちの方がこのような社会的にも自分の体にとっても良くない行動を取りやすかったということです。

傾向としてかなりの違いが表れているわけですが、これはどういうことかというと、ただ単にLGBTQの人たちにそういう良くない行動をする人が多いということではなく、このデータをさらに深掘りしてみると、LGBTQかヘテロセクシャルかということに関わらず、そのようなネガティブな行動の原因になっているのは自尊心の低さでした。
LGBTQの学生たちは差別や偏見をどうしても受けやすくなってしまいます。今では、かなり受け入れられるようにもなってはきましたが、それでもまだまだ世間的には少なからず偏見を受けてしまいます。
このような偏見によって、人間というものはありのままの自分を受け入れることができなくなってしまいます。その結果、自尊心が低下してしまい良からぬ行動に手を染めやすくなってしまうわけです。

ですから、このような自己破壊的な行為をしてしまう人達は、意外と本人のメンタルの問題というよりは差別主義の対象になりやすい人達で、それが結構大きな原因の一つになってきます。
ある意味自分の力ではどうしようもない要素も含まれるわけですが、だからといって、そのような犯罪的な行為をしていいというわけではありません。
ですが、社会的な問題も含まれるわけですから、みんなで犯罪者として非難したりするよりも、その人がそのような行為に手を出してしまったのはなぜなのか、そして、そのような方向に手を染めることなく環境を整えるにはどうすればいいのかを考えた方がいいのかもしれません
槇原敬之さんの場合も彼でなければ書けないような素晴らしい曲をたくさん書かれています。社会的にも価値のある曲をたくさん世に出しているということもありますし、そのような人が社会的に助けられるような構造を作ってあげないといけないのではないのかというようなことも考えることができます。

自尊心の低下がネガティブな行動をとらせてしまう

結局、自尊心の低下が薬物の問題に限らず僕達にネガティブな行動を取らせてしまいます
ですから、自分は今のままで価値があると思えるようにしなくてはいけませんし、もし、何かしらに手を出してしまいそこから立ち直って欲しいと思う人がいる場合には、自分にはそのままで価値があると感じさせてあげるような心理的なプログラムを組んであげないと、結局また同じことを繰り返してしまうことになりかねません。
この自分は今のままで価値があるという考えは完全に主観的なものですから、例えば、自分は年収は低くても素敵な家庭も友達にも恵まれていて幸せを感じているから、今のままで十分に満足しているというのであれば問題はないわけです。これは自尊心が高いと言えます。
一方で、どんなにお金や名声を手に入れていたとしても、まだまだ足りないと考えていたり、お金はあっても人間関係が全くうまくいかないから自分はダメなんだと考えてしまうように、他の人から見るといくら恵まれている部分を持っている人でも今の自分を受け入れられないと自尊心は低くなってしまいます。そうすると良からぬ行動に手を出しやすくなってしまいます。

芸能人がなぜこのような行為をしやすくなってしまうのかというと、それは他人に粗を探されまくるからです。
LGBTQの方も特にそうかもしれませんが、自分の性的な嗜好をとやかく言われてしまうし、芸能人の方がちょっと異性の人と食事に行っただけで週刊誌に書きたてられます。そうなると、本来の自分を出したくても出せなくなってしまいます。
そういう意味では、週刊誌などはこのような著名人たちが道を踏み外しやすくするための促進剤のようになっています。

もし自分にとってプラスにならない行動をとっているのなら…

これは芸能人に限らず、皆さんも自尊心が低くなると良からぬ行為をしやすいということを覚えておいてください。
別に、皆さんがそのような犯罪行為をするということではありませんが、例えば、自分にとって健康的な行動を取らなくなってしまったり、人間関係で損をするような行動を無意識に取ってしまったり、自傷行為や自己破壊的な行動、ギャンブルに全財産を突っ込んでしまうなどの行動をしやすくなってしまいますので、自分がもし自分にとってプラスにならない行動を取ってしまっていると思う時には、どうすれば失った自尊心を回復することができるのか、もっと自分のことを好きになれるのかということから考えていくと、意外と解決しやすくなります
一番良くないのは、自分にとって良くないことをしている時に、こんなことをしている自分はダメなんだと自分を責めまくり、そんな自分を抑え込もうとすることです。自分を抑えれば抑えるほど自尊心は低下してしまいますので、余計にその良くない行動に手を染めやすくなってしまいます。
ですから、大事なのは今の自分の良さに気づくことです。ここから始めるということが心理学的なアドバイスです。

槇原敬之さんの今後がどうなるのかはわかりませんが、是非また素敵な曲を書いていただけたらと思います。
ちなみに、メンタルの弱い人の方がアーティストとして良い作品を作ることができるということもありますので、素敵な曲を今までたくさん聞かせてもらったわけですからみんなでサポートしてあげるというのも人情だとは思います。

自傷行為などまでにはいかないけれど、自分をありのままに受け入れることができないという人も少なくないと思います。自分自身が損をするとわかっている行為を止めることができないという人がいると思います。
そんな人のために今回のおすすめの動画として二つ用意しています。
「自己嫌悪はもう卒業!自己肯定感の心理学」では、自分を肯定して受け入れることができるようになるためにはどうすればいいのかということを解説しています。
そして、いわゆる完璧主義もかなり危険で、今の自分は完璧ではないからダメで、だからもっと完璧にならないといけないと自分を責めてしまいます。これも自尊心を著しく下げてしまいます。
「完璧主義と自己批判が先送りの原因!自分を許して即やる人になるセルフコンパッション」では、そんな完璧主義の直し方を解説しています。
セルフコンパッションは心理療法の世界でも使われるテクニックで、ありのままの自分を受け入れることができるようになるためのトレーニング法です。これにより自己批判や完璧主義が直るという研究があります。是非チェックしてみてください。

今回のおすすめの本としては『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門』を紹介しておきます。
自分を受け入れるためには非常に参考になる本だと思いますので、こちらもぜひチェックしてみてください。

自尊心を高めるためのオススメ動画↓
自己嫌悪はもう卒業!自己肯定感の心理学 ▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1528995816
完璧主義と自己批判が先送りの原因!自分を許して即やる人になるセルフコンパッション▶︎https://www.nicovideo.jp/watch/1522166747

「自分なんてどうせ」思考を直したいならこちら

自分に自信を持つためにはこちらも参考に

References
Supported by Yu Suzuki  https://ch.nicovideo.jp/paleo

本内容は、参考資料から考察した科学の面白さを伝えるエンタメです。あくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
参考:https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13811118.2018.1515136?journalCode=usui20

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