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キャッシュレスで損する人、得する人の違い

キャッシュレスで損する人、得する人の違い

DaiGo MeNTaLiST

この知識はこんな方におすすめ

  • キャッシュレスで損したくない!
  • 無駄な浪費をしたくない!

キャッシュレスの罠!?

今回はキャッシュレスの罠について紹介させてもらいます。
特定のお店でキャッシュレスで払うと5%還元されるという施策が消費税率に対する対策として行われていますが、これはヘタをすると皆さんがより無駄遣いをしやすくなってしまう興味深い研究がありますので紹介させてもらいます。

本質的な問いのようになってしまいますが、皆さんはお金とは何だと思いますか?

今もし僕が皆さんにお金をいくら持っていますかと尋ねると、おそらくクレジットカードや銀行口座ではなく財布の中にいくらあるかということを考える人がほとんどだと思います。ましてや、Suicaの中にいくら入っているかということを考える人はそうはいないと思います。
人間は紙幣や硬貨というものに対してのが強烈に反応するようにできています。一方で、キャッシュレスになったり銀行口座やクレジットカードでいくら使えるかというような単なる数字になると、人間はあまり反応しなくなります
例えば、お札を使って1万円払う時とクレジットカードで1万円払う時とでは、脳の反応が全く違ってきます。お札を使って払う時には、もちろん人によってその大きさは違うとは思いますが、痛みに近いような感覚を人間は受けています。お金を使うという行為は人間にとって痛みに近い感覚になるということです。だからこそ、無駄遣いになってしまうかもしれないと考え余計な出費を止めることができるわけです。
ところが、これがキャッシュレスになると全く違ってきます。
人間の脳はさほど痛みを感じないので、その分、余計な無駄遣いをしやすくなってしまいます。

お札の滞在期間

それ以外にもお金にまつわる研究は色々とあります。
昔よく長財布を使う人の方がお金持ちになれるという話があったかと思います。お金が気持ちよく過ごせるような場所を作ってあげるとお金がどんどん集まってくるというようなスピリチュアルな話があったかと思いますが、実際にはこれは半分正解です。
くたびれて古いお札と新札があると、当然ですが人間は古い方から使おうとします。さらに、新札は自然と使いにくくなります。新札は人はなかなか使わなくなりますが、古いお札だと結構簡単に使ってしまいます。
お札の滞在期間を調べたという興味深い研究があり、これによると、古いお札はお財布の中での滞在期間が有意に短く、新札は滞在期間が長いということが確認されています。
ですから、そういった意味で考えると、長財布を使っている人の方がお札を折ることなく財布に入れることができるので、新札の状態を維持することができるようになる可能性は高くなるので、確かにお金は出て行きづらくなるかもしれないということです。お金が入ってくるかどうかは別ですが、確かにお金は出ていきにくくなる可能性があるということです。

クレジットカードになると出費が増えるだけでなく・・・

では、これがキャッシュレスになるとどうなるでしょうか。
これについても興味深い研究があり、アメリカの研究チームが約1000件の一般的な家庭を対象に、食料品の買い物を半年間にわたって追跡調査するという研究を行っています。
それによると、現金を使った場合とクレジットカードを使った場合を比べると、これは想像が容易に着くと思いますが、クレジットカード、つまりキャッシュレスで買い物をした方が買い物の額は多くなりました。これはお札に比べて痛みを感じにくいので当然お金が出ていきやすくなると考えることができます。
ところが、それだけでなく、キャッシュレスで買い物をすると健康的ではないようなジャンクフードのような食品や嗜好品を衝動買いしてしまう確率が高くなるということも分かっています。

つまり、現金が出て行く時には人間は心理的な痛みを感じるので、その痛みに見合うものかどうかということをちゃんと考えることができるようになります。
ところが、それがキャッシュレスで払うようになると、痛みを感じないのでそれに見合うものかどうかというチェックをすることがなくなり、無駄遣いが増える上に不健康なものにも手を出しやすくなってしまうということです。

無駄遣いやお金の失敗を忘れやすくなる

さらに、クレジットカードについて調べた研究もあり、クレジットカードで払った方が、いくら払ったのかということを人間は当然覚えておらず、さらに、チップなども弾みやすくなるということが分かっています。
こまめに銀行口座からお金を出して現金を使う人もいると思いますが、このような人はお金を使った時に痛みと共にネガティブな感情が生まれます。これがお金を使った時の記憶を強化してくれるので、自分が今どれくらい使っているのかとか、以前してしまった無駄遣いのことなどもはっきりと覚えています
ところが、クレジットカードの場合はこの記憶が残らないので、無駄遣いによる失敗を反省しづらくなってしまいます。それにより無駄遣いが加速してしまったり同じような失敗を繰り返してしまいます。

学生を対象にした実験があり、なかなか手にすることができないようなプレミアムチケットを用意し、学生に対してシークレットオークションを用意しました。これは他の人の入札金額が見えない状態にして行うオークションで、最も高い入札額を入れた人がそのプレミアムチケットを買えるという実験を行いました。
その際に、学生の半分は現金払いで残りの半分はクレジットカード払いにしてもらいました。
その結果、入札金額には大きな違いが現れました。現金払いのグループは平均して28ドルの入札でしたが、クレジットカード払いのグループはなんと平均して60ドルの入札でした。
つまり、現金の場合は人間は痛みがあるから出費を抑えようとすることができますが、クレジットカードの場合は痛みがないので現金の場合の倍以上もお金を使いやすくなるということです。

キャッシュレス経済は便利ですが・・・

僕は別に現金払いがいいということが言いたいわけではありませんし、今後キャッシュレス化がより進んでいくのはとてもいいことだとは思いますが、キャッシュレス経済というものはお金を払うことに対する痛みをなくすということを覚えておいてください。
そういう意味では、メリットとしては消費が増えるということはあります。そういう意味では経済がより回るようになるのでいいことだとは思いますし、出費をコントロールすることができるのであれば、痛みを感じながら現金で払うよりも痛みなくキャッシュレスで払ったほうがいいというのも間違いありません。
ですから、自分をコントロールする能力であるセルフコントロール能力がある人達にとっては、キャッシュレス化というのはとても良い時代になると考えることができます。
逆に、自分をコントロールできないような人にとっては、キャッシュレス化はかなり危険なことになると言えます。
自分をコントロールすることができない人がどんどん損をする時代になっていくということです。

無駄遣いをしないための対策

自己コントロール能力が低くて、ついつい無駄遣いをしてしまう、自分の収入に見合わないような買い物をしてしまうような人はどうすればいいのでしょうか。
このような人のための解決策があります。
キャッシュレスを使いながら自分をコントロールするための方法が二つあります。

1. 現金が出ていくところを想像する

クレジットカードで買い物をする場合には、自分が同じ額をお財布から出しているところを想像してください。実際に現金で払っているところを一旦想像してからそれを買うかどうか決める、あるいは、買うと決めた後にそれが出ていくところを想像してください。
想像するだけでも人間の脳はある程度反応するということが分かっています。

2. 同じ金額で他に何を買うことができるか三つ以上想像する

お金を使う時に同じ金額で他に何を買うことができるかということを三つ以上想像するようにしてください。僕もこれを癖にすることでかなり無駄遣いがやりました。
例えば、歩くのに疲れたのでタクシーに乗りたいと考えたとします。その距離で考えるとおよそ1000円ぐらいになるかなと考えたら、その1000円で他に何を買うことができるかということを考えます。そう考えると、僕の場合であればそのお金があれば本を買った方がいいなと思うようになります。これを慣れないうちは三つぐらい考えるようにすると、かなり無駄遣いが減ります。
同じ金額で何を買えるか、あるいは、その金額を何回我慢すれば自分の欲しいものが買えるかと考えると、自然と無駄遣いは減るようになります。

この実際にお金が出ていくところを想像するのと合わせて、他に何を買うことができるのかということを想像することで、感情的にも論理的にも無駄遣いが減るようになります。
是非試してみてください。

キャッシュレスはとても便利なものですが、人間の脳はそれほどうまくできていません。その点を理解しうまく活用していただけたらと思います。

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https://academic.oup.com/jcr/article/39/6/1330/1825424
https://www.jstor.org/stable/10.1086/657331?seq=1#metadata_info_tab_contents
https://www.researchgate.net/publication/233496571_Always_Leave_Home_Without_It_A_Further_Investigation_of_the_Credit-Card_Effect_on_Willingness_to_Pay
Claudia Hammond, Mind over Money: The Psychology of Money and How to Use It Better

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